もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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「ちなみに、実家いるとき、なにを頼んでたの?」

豊が尋ねると、俊也は箸を持ったまま、宙を仰ぎ、思い起こしてる。

「あー...本とか、楽譜やレコードとか...あ、レコーダーの針とか筆記具や服だとか...母親、専業主婦だから、たまに外に連れ出してくれたりはしたんだけど。母さんにはわからない物もあったりするし」

「....そっか。俊也を思って、俊也のお母さん、プラチナカード持たせてくれてたんだね、俊也のために」

俊也に声をかけると、俊也は微かに笑った。

「母さん、変わってるんだよね。父さんとはお見合いだったらしいんだけど。樹たちも知ってると思う、お菓子のメーカー企業の創業者の孫で、祖父は取締役なんだけど。家政婦もいるのに、たまに料理、作るんだ。俺は母さんの料理、好きだけど、父さんは栄養面が不足してる、て少し食べたら席を立って...」

俊也が箸を動かしながら、テーブルの上を瞬きもせずに、語った。

「兄弟とかはいんの?俊也。ちなみに俺は下に一人、弟がいる。今、11だから、小6。生意気ざかりでさ、ま、可愛いっちゃ可愛いんだけど」

豊が海老チリを口に運びながら聞いた。

「いるよ。兄と弟。高2と中2。二人とも父親と同じく、将来は医師になる、て決めてるみたい。俺はもっぱらごめんだけど」

「仲はいいの?」

今度は涼太が聞いた。

「んー...別に仲は悪くはないけど。必要最低限な会話しかしないかな、最近は。昔はそうでもなかったんだけどね、特に弟は。で、どうする?星、見に行く?別荘とコテージ、ペンション、どれがいい?」

「え、あの、俊也、コテージとペンション、てなにが違うの?」

「コテージは割とキャンプ場に併設されてる場合が多くて、キッチンが備えつけられてたりするよ。ペンションは西洋料理が出てくる場合が多くて、料理する手間は省けるかも。ただ、他の宿泊客との距離が近かったりもする」

へえ、と尋ねた俺も、涼太も豊も感嘆な声を上げた。
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