もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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繰り返す悲劇

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もうすぐ夏休みになる。

涼太がやってきた。

「....なんか、変なんだよね、よくわかんないけど」

「変って?なにが?」

俺は俊也のお陰で素の自分で涼太と話せるようになった。
涼太も同じ。

「なーんか、豊と会うと胸が苦しい、みたいなさ、罪悪感かなあ」

ふと、左手首を見ると、豊がプレゼントしたブレスレットが揺れている。

「....そのブレスレット、いつも着けてるんだ?」

途端、涼太が真っ赤になり、焦り出した。

「ち、違うし!いいなあ、て思ってたやつだったし、それにお風呂のときは外すし!」

「そりゃ、お風呂のときは外さないとだよね。それ、皮みたいな感じだし、ふやけちゃう」

ニヤッとして言うと、涼太はリモコンを手に取り、うるさいなー、もう!とテレビを付けた。

「気になってるとかじゃないの?豊のこと」

「....でも、酷いことしたのにさ、ドキドキするとか調子良すぎだよね、て....」

テレビの画面を向いたまま、少し切ない表情の涼太を眺めていた。

不意に、背後のテレビから、速報です、のアナウンスに振り返る。

病院で闘病中だった、まだ若く、人気のあった女優さんが飛び降り自殺し、死亡....。
俺も映画で観たことがある、綺麗で演技も上手な女優さんだった。

「....大変」

「だね、まだ若いのに....」

「それもあるけど、この病院、俊也のお父さんの病院....」

「えっ!?」

繰り返します、と、また女性のアナウンサーが語り出す。

「樹、入るぞー」

俊也の声に慌ててテレビを消した。

「い、いらっしゃい、俊也」

「なんだ、涼太も来てたの」

「な、なにしてた?俊也」

俺は恐る恐る尋ねた。

「なにって、勉強だけど。なんで?」

不思議そうに俺を見つめる俊也にさっきのニュースを知らせる訳にいかない....。

涼太と、どうしたらいい?と、合図のように目配せした。

俊也は変わらず、首を傾げてる。

「てか、そろそろ、食堂行こうぜ。腹減ったし」

あのニュース、他の生徒たちに知られていないといいけど、と願う....。
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