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しおりを挟む豊は、腕を組み、うーん、と唸り声を上げた。
「....どう、て言われても。俺や樹が涼太んち行くときって、大抵、母親しかいなかったから。父親、出張とかでいなくてさ。普通に仲良かった感じだけど」
「それは、涼太と涼太の母親?」
「ああ。父親とは殆ど会ったことないから良くわかんねーけど....。あー、なんかスーツ着てて、無愛想な人な感じだったから、子供ながらに気を使ったの思い出した」
「....良く遊んでたのは涼太の家?」
「いや、殆どは俺か樹の家」
ふと、樹の為に通販で購入した、と食べるよう促された海外の有名な高級なクッキーを思い出した。
「あー。それ、うちの母親が好きでさ、よく出してたな、そういえば」
「樹がお気に入りだった?」
「そう」
「なるほどね。豊と張り合いみたいな感じか。わざわざ、通販で買って、樹の為に頼んであげた、て押しつけがましい感じ」
「涼太が俺と張り合う?」
「あいつもあいつなりになんだかのコンプレックスがあるんだろ」
「つかさ。お前なら俺、安心して樹を託せるし、応援出来る。でも、涼太、話したろ?かなり、樹に執着してる。大丈夫なわけ?」
「わかってる、だからだよ。涼太をどうにかして、そして、俺は樹と正式に付き合いたい....樹、次第だけど」
豊が肩を竦め、笑った。
「いや、不安がらなくても、樹、お前が好きだよ。付き合い長いからさ、見ててすげー、伝わる」
「....だといいな。俺さ、そんないい奴じゃないから」
「そんなことは....」
「まだ、樹にも話してはない。けどさ、樹と出逢って、樹を知っていくほどに、....樹と重なるんだ、たまに。でも、その子と樹は違う。最近、ようやく気づけた。樹と過ごす時間の中で」
豊が怪訝な顔で俺を見る。
「ごめん、話しが読めない」
「だよな、ごめん。でも、樹にはいつか必ず話す、て約束したんだ。俺をどう思うか怖いけど...」
「....なんかヤバいこと?」
「....詳しくは話せない。ただ、その事がきっかけで、俺は本を読みまくって、そして、逃げてた」
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