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涼太side
しおりを挟む樹も俊也もいないし、一人で食堂で夕飯を食べた。
「ったく、なんなの」
俊也に借りた本もまた。
「....文字だらけ。頭、痛くなるー!」
パラパラと捲ってはいたけど、放り投げた。
俺が借りた訳じゃないのに返却しなきゃいけないとか、マジだるいし。
「....面倒だし、放っとくかー」
でも、俊也に遅延の連絡が来たらまた面倒だし。
せっかくいい感じになって来たのに台無しになっちゃう。
「にしても、どのαも似たり寄ったり」
樹も男運がないなあ。
近くにあるクッションを抱き、座る。
「早く俺を思い出さなきゃ、樹」
クッションを持ち上げ、クッションにチュッ。
不意にドアがノックされた。
「誰ー!?」
「俊也だけど」
慌てて、姿見に自分を映し、髪や服の皺とかをチェックし、ドアを開けると、笑顔の俊也が立っていた。
「もう!いないんだもん!何処、行ってたのー?」
「んー、ちょっと、野暮用」
「まさか、樹?」
「違う、クラスメイトの部屋でさ、くっちゃべってたら、間に合わなくなって。....つーか、空っぽだな」
「ん?なにが?」
「いや、テレビにベッドにカラーボックス...本とか読まないの?漫画もないね」
「え、あー、物が多いの、嫌いで」
ひきつり笑いになりそうになった。
趣味はないし、好きな物は樹だけ、てバレちゃう。
「てかさ、色々、知りたいからさ、涼太のこと。話したくて」
「えっ、うん。いいけど。なんか、出逢った頃と変わったね、俊也」
「ああ....緊張してたから。人付き合い、苦手なとこあるし。それに、お前、可愛いからさ、意地悪したくなった」
なーんだ、そういうことか!
俊也、イケメンだけど、ごめんねー、俺、樹が好きなんだよね。
なんてバラさないけどー。
「俊也、照れ屋さんなんだ」
「だな。でさ。涼太のこと、色々、知りたい、て言ったじゃん?」
「うん!」
「好きな物や趣味とかは?」
「....え?」
「趣味、なに?」
「え、あー、なんだろ....」
「よく泳ぐな」
「え、な、なにが?」
「ううん。綺麗な瞳だなあ、て見蕩れてた」
笑顔の俊也に爆笑しそう。
男って。α、て本当、単純。気持ち悪い。
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