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しおりを挟む俊也と知り合って、いつも俊也といるからかな。
涼太を自然と笑顔で出迎えてた。
豊とのことはもういい。
豊がまさか、涼太を脅して犯していたなんて思いも寄らなかったけど...。
でも、豊には会う気がしない。
「どうしたの?紅茶でいい?」
「うん。昨日さ、何処に行ってたの?」
え?とキッチンに立つ俺が振り向くと、テーブルの前で頬杖をつき座る、笑顔の涼太と目が合った。
「部屋、来たのに、いなかったから。遊び行ってたの?」
「え?う、ううん。実家に戻ってた」
俺は何故か、涼太に嘘をつき、視線を逸らし、紅茶を煎れる。
....嘘、ついちゃいけないのに。
でも、なんだか、涼太に、俊也と特別な夜を過ごした、て話したく無かった。
俺と俊也だけ、二人だけの素敵な思い出にしたいから...。
「なーんだ、そうだったんだ。言ってくれたら良かったのに。久しぶりに夏美ちゃんにも会いたかったな」
涼太の前に湯気を立てる紅茶のカップを置くと、ありがと、と涼太はカップを持ち上げ、小さく飲んだ。
俺もテーブルを挟み、紅茶を含む。
「ね、今度、一緒に遊び行かない?樹」
「遊びに?」
「うん。樹が行きたいところなら何処でもいいよ」
「涼太は行きたいとことかないの?」
涼太は特徴的な丸い目を細め、満面の笑みを浮かべた。
「うーん、特に無いかなあ?樹が行きたいところに一緒に行きたいから」
「そ、そっか」
なんだか気まずくて、涼太の笑顔を見ないように再び、紅茶のカップを持ち上げ、飲んだ。
不意に。
「樹、開けるぞー」
と、俊也の声がした。
「あ、俊也くんだ」
何処か醒めた表情で、涼太は俊也の声がしたドアを振り向いた。
「よっ、樹。約束してたもの....」
俊也の視線が、涼太に落ちる。
涼太はきょとん、とした顔で無言で俊也を見上げていた。
「こんにちは、涼太。久しぶり」
俊也が笑顔で涼太に声を掛け、俺は唖然としてしまった。
「....久しぶり。俊也くん」
涼太は鳩が豆鉄砲を食らったような顔で答え、そんな二人を暫し、俺は交互に見つめた。
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