もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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ガラスのテーブルの端に立て掛けられた、なんだか説明書みたいな、カタログみたいな数冊を俊也は手に取った。

「あー、宿泊料金とかか」

俺は別のを開いてみたら、飲み物や食事、おつまみのメニューだった。

「あ、なんか頼む?」

「さっき、カラオケでも軽く食べたよ?」

「スナックじゃん?」

「太るよ?夜中だし」

「後で筋トレすればいい。マシンがある部屋とかあるかなあ」

「さあ....」

結局、俊也は醤油ラーメン、ついでにノンアルコールのオシャレなカクテルを二杯。
ナッツとチーズ。

「で、樹は?腹減ってないの?」

「んー、減ってはいるけど」

「だったら、なんか食えよ。後で一緒に筋トレすれば大丈夫」

....筋トレかあ、あんま気乗りしないけど。
メニューの写真を見てたら、やっぱり食べたくはなる。

「あー、なんにしよ。悩むー。カルボナーラもいいな、でも、カレーも気になる....」

「両方、頼も!俺も半分、食べるし」

そうして、リモコンで注文した。

「なんか、すげー、ハイテクだな、カラオケのときも思ったけど」

「....そう?でも....」

「ん?」

「....来たこと、あるんじゃないの?俊也」

「何処に?」

不思議そうな丸い目が見下ろしてくる。

「や、だから、....ラブホテル」

途端、俊也は大爆笑した。

「まっさかー!ある訳ないじゃん!」

本当かなあ、と思う反面、ほっとする自分がいる。

「でも、ラブホテル、かあ...センスあるよな」

「え?」

「だってさ、愛のホテル、だよ?恋人や夫婦の為のホテル。考えるよなあ」

「....恋人や夫婦の為のホテル....」

「そ。夢があるよな。だって、ここに泊まってる人達さ、みんな、恋人や夫婦、てことだろ?ロマンチックだよな」

優しく微笑んでくる俊也だけど...なんか、勘違いしてる、ような....。

「あ、映画も観れるみたいよ?明日まで連泊するか。なかなかいい部屋だし」

「う、うん」

とりあえず、頑張って笑顔で答えた。

....もしかしたら、本当に来たことないのかも。ついでになんか勘違いしてる気がするけど...夢を壊さないでおこう。
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