もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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とりあえず、ドリンクバーは口答で説明して理解してくれて、メニューを見ながら飲み物やスナックを注文した。

「樹がまず、お手本ね」

「俺!?」

「うん。どんな曲が好きとか知らないし。後、最近、どんな曲が流行ってるかとか疎いしさ。童謡で止まってるから」

ぷふ、と思わず、吹き出すと、俊也も一緒に笑った。

俺が歌うと、おー、やら、いい曲だな、とか、感想を言う俊也。

俊也は本当に曲に疎いらしく、ひたすら、童謡を歌ってる。

でも、懐かしいし、落ち着くし、悪くないな。

たまにスナックを食べたり、ジュースを飲んだりして、お喋りも挟みながら、一時間のカラオケタイムは終了した。

「どうだった?俊也」

「新鮮だったー!気持ちいいもんだね、歌うのも」

「歌うのも、て?」

「んー、ピアノはさ、子供の頃に習ってたり」

「ピアノ!?」

金髪男子の俊也の見た目から想像もつかなかった。

「まあ...親の薦めでね、で、次、何処行く?」

「んー....時間も時間だし、飲みとかいける年齢じゃないもんね」

通り過ぎる、酔っ払いの大人たちを見ながら、変わらず手を繋ぎ、夜の街を歩く。

ふと見上げた先。

キラキラとネオンが眩しい佇まい....思わず、視線を逸らした。

「あれは?」

「....ラブホテルだと思う」

視線を逸らしたまま、ボソッと答えたが、

「へー!面白そう!すっげ、キラキラしてるしさ、行ってみようよ」

「え!?」

グイグイ手首を引かれ、あれよあれよと気がつけば、まだ真新しそうなラブホの自動ドアの前。

「....人がいなくない?フロントも無いし、ホテルマンもいない」

途端、俊也は訝しげに辺りを見渡した。

「あ」

手首を掴まれたまま、タッチパネルの前。

....わざとかな?
きっと、モテただろうし、知らない訳なさそう....。

本当は来た事あるけど、気を使ってくれてるのかな....。

そんな風に思いながら、タッチパネルを見つめる俊也の横顔を見上げた。
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