もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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再び夜の街を歩き始めた、俺と俊也。

変わらず、手を繋いだまま。

土曜日の夜ともあり、飲み会なのか、団体やら酔っ払いの人もいて、確かに俊也に言われた通り、手を繋いでくれているとなんだか心強い。

暫く、歩き、不意に俊也が立ち止まった。
何事かと俊也の視線を追うとカラオケBOX。

「....社会科見学の一環にもなるし、樹の歌も聞けるし、行ってみっか」

思わず、えー!と叫んでしまい、きょとん、と俊也が俺を見下ろす。

「どした?」

「俺だけ歌うとか嫌なんだけど」

「でも、俺、音痴だよ?歌も詳しくない。クラシックは聴くけど、歌えないし童謡くらい?」

「....童謡」

「うん」

真顔で、カラオケで童謡しか歌えないだろうと言う俊也を見上げ、吹き出しそうになり、思わず口元を抑えた。

「....まだ歌ってないのに笑うなよ」

「ごめん、つい....」

そう謝るのに、笑いを堪えて声が震える。

「カラオケで童謡、歌うとか、良くある?」

真剣に聞いてくるからまた笑いそうになる。

「笑うなよw」

「ごめん、でも、社会科見学の一環なら....」

「カラオケ楽しい?」

「んー、どうかな、人によるんじゃないかな」

「樹に聞いてる」

「俺?んー、まあまあ?」

小首を傾げながら答えると、俊也は、悪戯っ子みたいに笑い、手首を掴む。

「じゃ、行くぞ、樹。わかんないとこ、教えて」

「うん!カラオケでは先輩だね」

顔を見合わせ、互いに笑い、カラオケBOXに突入。

カウンターで、会員証の手続きやら、コースや部屋などを店員さんと話していると、

「へー、最初に手続きするんだ。お会計も?」

「いえ、お会計はお帰りの際になります」

「あー、なるほど」

俊也は店員さんに尋ね、頷いた。

いざ、宛てがわれた一室に入ると、俊也の一声は、

「暗っ!」

だった。

「電気の調整だね、まず」

そうして、壁にあるスイッチを回し、電灯を調整すると、隣り合わせてソファに座った。

デンモクの使い方を教えて、後はドリンクバーだね、と言うと、

「ドリンクバー?なにそれ?」 

と返ってきた。
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