もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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俊也が先にブロック塀に飛び乗り、俺に手を差し伸べ、その手を握ると、引き上げられ、一緒にアスファルトに着地。

次第に慣れてきた。

が、いつまでも、俊也は手を握ったまま....。

「....俊也」

「ん?」

なんだか、いつもより優しい笑顔の俊也が俺を見る。

「....変に思われるよ?手を繋いでたら...人通りもあるし....」

俊也が屈託ない笑みを返した。

「樹が迷子にならないように繋いでるだけ。誰も変には思わないよ」

「でも....」

「気にしなきゃいい。二度と会うこともないだろう、他人でしかないんだから」

....確かにそう、なんだけど。
....ホントはなんだか、恥ずかしい、てだけ。

手に汗、かいていないかな?
どうして、俺の手を握って歩くのかな。

俊也の清々しいような横顔を見上げながら、俊也の温かい手の温もりを感じながら...
まるで、デートみたい。

そう思うと、顔が熱い。

「高一、て見たくれだし...あんま、いい店、入れなそうかな....」

苦虫を噛み潰したような顔で俊也が言った。

「....とりあえず、俺の知ってる店でいい?樹」

「うん、もちろん」

俊也と手を繋ぎ、着いた先は雑誌かなにかで見たことはある、て程度の三ツ星の有名なホテル。

「この最上階にさ、レストランがあるんだ。眺め、抜群だよ。樹の好みかわかんないけど...」

「....高いんじゃないの?」

再び、俊也は微笑み、

「樹はそういうの気にしなくていいの。樹の舌に合うといいんだけど....」

高級感溢れる、ホテル内に緊張しながら、エレベーターに乗った。

最上階のボタンを押した俊也を見つめる。

「....断られない?行き慣れてるの?俊也」

「んー...どうかな」

そうして、階数を知らせる機械的なアナウンスの後、俊也の後を追う。

レストランの入り口には正装し、かしこまった黒いスーツと首にはリボン、白いシャツのウェイターがいた。

俺と俊也を目に止めるなり、

「申し訳ありません、お客様...」

遮ったのは俊也だった。

「ドレスコード?時代遅れだよ、てこないだ、言ったばかりだけど?」

途端、は、とした顔になり、俊也に男性は頭を下げた。

「申し訳ありません、俊也様」

呆然としている俺に、俊也は、

「ほら、入ろう」

と背中を押した。
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