もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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笑顔で俺を見つめたはずの俊也の瞳が涼太に降り、何故か俊也は強ばった表情になった。

「....なんでお前がいんの」

「えっ、樹の友達なの?俊也くん」

呆然と二人のやり取りを見つめた。

いつの間に、二人、知り合ってたんだろう....。
聞くのが怖い...。

「樹の幼馴染みなの、俺。ね?樹」

「え?う、うん....」

まだ微かに赤い目で涼太は俺に微笑んでみせた。

一方、俊也を見上げると、忌々しそうな不思議な顔で、涼太を見下ろしている。

「飯、行くぞ、樹」

俊也は涼太には声を掛けず、俺の元に歩み寄り、俺の手首を掴み、立ち上がらせた。

「あ、待ってよ、樹と夕飯食べる約束してたのに」

涼太を無視し、俊也は俺の手首を握り、歩き出す。

「....あいつ、ほんとにお前の幼馴染みなの?」

「え?う、うん」

はあ、と俊也が重いため息をついた。

「いつから?」

「小学校から....」

「....意外。長いんだな」

「うん....」

涼太が俺たちに追いついた。

「もう!置いていかないでよ、樹も俊也くんも」

初めて、涼太も交えて、食堂で三人で食事を摂った。

親子丼、肉じゃがの小鉢、胡瓜と蛸の和え物、ほうれん草と油揚げの味噌汁。

珍しく、俊也も無言で、俺も特に話しはしなかった。

「んま!美味しいね、樹」

「う、うん」

「俊也くんも親子丼、好き?」

愛想良く、涼太が声を掛けたが、俊也は答え無かった。

ふと、耳元を見たら、ワイヤレスのヘッドフォンを付けている。

「俊也くん、無愛想!ねっ、樹」

「う、うん...」

相槌を返すだけ。
こんなに重苦しい空気の中、初めて、食堂で食べた。

いつもは俊也が話しかけてくれるのに...。

ずず、とお椀を持ち上げ、お味噌汁を啜っていると、

「ごめんな、樹。俺、あいつ、なんか苦手だわ」

正面に座る涼太に気づかれないよう、こそっ、と俊也は俺の耳元に唇を寄せ、俊也の小さな本音を聞いた。

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