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俊也side
しおりを挟む樹ってほんっと、裏表は無いわ、お人好し過ぎるわ、危なっかしい。
だから、放課後、授業も終わったってのに、担任のコピーに付き合わされる。
「先に寮、戻ってて、俊也」
そうは言われたものの、俺は図書館にいる。
借りたい本を何冊か長テーブルに置き、ペラペラと捲り、品定め。
この見た目から珍しがられたり驚かれたりもするけど、俺は本が好き。
ていうか、活字かな。
真っ白けな頭ん中を活字が埋めてくれるから。
不意に隣に人の気配がした。
「なに読んでるんですかー?」
突然、話しかけられ、隣を見ると、俺より少し小柄な中性的な顔立ちの多分、同じ1年の男子。
「....誰?」
「涼太っていいます。伊藤涼太。1-Bです」
「....クラスまで聞いてなくね?」
椅子を引き、涼太とやらが隣に座った。
「....なんか色んな本、読むんですね。なんかオススメあります?」
「本屋じゃねーよ、俺」
「えーっ、でも詳しそう」
両手で頬杖をつき、屈託のない笑顔。
「....徒歩で移動中のあなたですが、うっかり寝坊してしまい、このままでは大事な待ち合わせに遅れてしまいそうです。さて、どうしますか?」
涼太の瞳を見つめたまま、質問をすると、丸い目が暫くぱちぱちと瞬きを繰り返す。
「なに?心理テストかなんか?」
「ま、そーいうとこ」
「徒歩なの?なんで?バスとかタクシーで良くない?」
「悪いけど、徒歩しか意味無いの」
「えーっ、なにそれ。大事な約束なのに寝坊すんの?無くない?」
「とりあえず、なんらかの事情で寝坊して」
「で、遅刻しそうなわけ?タクシー使うとか、あっ、人身事故に遭遇しちゃって...て、これ、列車かあ」
「そ、歩き」
「んー、人が倒れてたから病院に連れて行ってあげたから遅れた?」
「それでいい?」
「あ!財布が落ちてたから交番に届けたから遅れた!」
「....最悪だな、お前」
「えーっ、なんで?」
「財布を届けてあげた、遅れて来て、実は自分は人を助けてました、優しいでしょ、てことだろ?人が倒れてた、も同じ」
言い終わり、読みかけの小説を閉じた。
「で、今のなんの診断?」
「サイコパス診断。じゃーな」
俺はテーブルに置いていた本を小脇に席を立ち、貸し出し口に向かった。
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