もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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俊也と知り合ってからは、夕飯時は常に俊也がいた。

食堂で1人、味気ない食事。

鯖の味噌煮に鶏の唐揚げが2つ、金平ごぼう、ほうれん草のお浸し、茄子の味噌汁、グリンピースの豆ごはん。

俊也は美味しいって食べたかな。
俊也も夕飯どきかな?
なに食べてるかな?

食事の最中も俊也の事ばかり考えてる...。

「....残したら、俊也は怒るよね、きっと」

きちんと食べ終え、ご馳走様でした、と手を合わせ、トレイを返しに行き、自室に引き返す。

ふと、テーブルに視線を落とすとスマホが点滅していた。

慌てて開くと、俊也からのLINE。
食堂にいる間に来ていたみたいだ。

『うちの犬』

自宅らしきベージュ色の背景を後ろに可愛いゴールデンレトリバー。
まるで笑ってるみたいな表情、本当に可愛い。

『可愛いね、名前なに?』

『樹』

えっ、とスマホを見つめたまま、固まった。

『....俺?』

『嘘w ムーン』

『びっくりしたー』

『びっくりさせてみたw』

こうして離れていても繋がってる感じが嬉しくって無条件に顔が綻ぶ。

『ごはんは食べた?』

『ムーン?』

『ムーンもだけど、俊也』

『ムーンは食べたよ。俺はまだ』

『もう7時になるよ』 

『まあね』

家庭の事情とかもあるかな、と話しを変えた。

『今日、鯖の味噌煮だった』

『マジ!?食いたかったー!』

意外。
和食、好きなんだ。

そうだ、昨夜のお礼と今度は俺が奢る、て伝えなきゃ。

『あのね、俊也』

『うん?』

と、その時だった。

寮の部屋のドアがノックされた。

『あ、ちょっとごめん。誰か来た』

『え?』

俺は一旦、スマホをテーブルに置き、ドアを開けた。

私服姿の豊の姿があった。

いつの間にか背丈が伸び、以前より、俺を見下ろす感じが強い。

「....どうしたの?」

「....謝りたくて」

しばらく見つめ合っていたが、埒があかない、それにいつまでも逃げてちゃいけない、と豊を部屋に入れた。
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