もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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俊也がいない夜

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昨夜は食堂で俊也に奢ってもらった。

2人で7千円ちょっとの食事代をポン、と財布から一万円札を出し、支払ったが、食堂のおばちゃんは、

「いつも良く来てくれるし、お友達も連れて来てくれたし、学生料金とで、ちょっとだけどサービスするわね」

と、少し安くはしてくれたけど...
高一の食事代にしては高いかも...。

今度は俺が奢ってあげなきゃ。

俊也のいない休日。

ネットで購入していた映画のDVDが届いたのは確かだったが、なかなか観るまでに時間を要し、しばらくはダラダラして過ごした。

「....勉強しよ」

休日の昼に勉強とか。

俊也が知ったら笑いそうだな、と自然と笑みが零れた。

いつでも連絡してこい、て言ってたな、とスマホを手に取る。

実家で飼っているらしい犬のアイコン。

スマホを傍らに置き、テーブルで勉強。

....俊也がいないと時間が過ぎない。

ペンを置き、そのまま、カーペットの床に転がり、天井を見上げた。

「....俺も実家、帰ってもよかったかな」

俊也の存在が大きくなっていき、涼太や豊を思い出すことも減った。

豊がたまに話しかけて来ようとするけど、俊也が、その場から連れ去ってくれる。

「まだ、上手く話せない感じだろ?」

なにも俊也に話してはないのに俺の表情から俊也は俺の感情を汲み取ってくれるから....。

天井をぼんやり見つめていた俺はにやついた。

「....俊也が好き」

言えないけど。
俊也がいない今だから言える。

「そうだ」

昨夜の俊也の話しを思い出し、起き上がった。

中庭に遊歩道のような木々に囲まれた道がある。

「走ってみよ」

俊也もこんな景色を見ているのかな、と、珍しく授業以外で走った。

風が清々しくて、太陽が眩しくて。
まるで、俊也みたい。

キラキラな眩しい、いつも俺を見守るように見下ろしている太陽。

俊也に出会わなければ、自然の素晴らしさに気づくこともきっと無かった。
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