もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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すれ違っていく

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その夜。
2人がテーブルを挟み、雑魚寝のようにし寝ついたのを見計らい、ベッドから起き上がった。

暫く、先程までセックスしていた2人を見下ろしてた。

未だ、頭の中で整理がつかない。
本当に俺が見ていた行為は現実だったのかもわからない。

でも、この場はもう立ち去りたい。
そして、あわよくば、二度と来たくはない...。

なんとなく、わかってる。

2人が俺の知らないうちに、そういう...体の関係を持っていたんだって。

来たときの自転車で帰宅した頃には夜中だった。

暗闇の中、階段を上がり、自室のベッドに身を投げた。

結局、いつの間にか、眠っていたらしく、気がつけば朝だった。

「風邪、ひいたみたい」

家族とダイニングテーブルを囲む中、切り出したが、

「受験生なのに、仮病は駄目よ。なにかあった?」

母に窘められ、口ごもった。

「昨夜、涼太くんの家で勉強会だったんでしょう?喧嘩でもしたの?」

「....喧嘩ってわけじゃ」

目の前の皿に乗ったピザトーストを小さく齧る。

「喧嘩は先に謝った方が楽だぞ、樹」

何も知らない父はそう言った。

謝る....。
俺がどう謝ればいいんだろう...?

「ご馳走さまー、私、先行くね」

2つ下、中1の妹の夏美が席を立った。

気は進まなかったが、俺も遅ればせながら、登校した。

「おはよー、樹」

席に着くなり、涼太が寄ってきて、変わらず明るく声を掛けてくる。

「....おはよ」

「昨日、いつの間に、帰ったの?夜中、トイレで目が覚めたらいないんだもん」

「えっ、うん...ごめんね」

なに謝ってるんだろ、俺....。

「心配しちゃった。無事に帰れてるかなあ、て。メール入れたんだけど返事ないし」

「あ、ごめん、確認してなかった」

チャイムが鳴り、涼太は、また後でね、と自分の席に戻り、俺はほっとした。

それからも、涼太も豊も変わらず接してくる。

やっぱり、あの夜、見たものは夢だったのかな...。

1年から2年までは豊と同じクラスだった、涼太と同じクラスになったのは2年から。

知り合ったのは小学校に遡るけれど、俺たち、3人はいつもずっと一緒、だった。
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