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しおりを挟む「...なにをしてるんだ、確かめてどうする...咲夜、ごめん、ごめんよ、咲夜、泣かないで...」
絵画を見せまいと、咲夜の体を反転させ、自分に向かせた。
結月の服に顔を押し当て、泣きじゃくる。
「...咲夜、ごめん。まだ、昔の僕に...和樹に会えていないんだね...寂しいね...ごめん、咲夜」
ぎゅっと咲夜を抱き締めた。
不意にドアが開いた。
「どうしたんだね?大丈夫かい?」
会ったことのない、顎髭を蓄えた、若くは見えるが中年の男性。
拓磨の父だった。
「す、すみません。小説を探していました...」
「随分、泣いているね、どれ」
拓磨の父が咲夜を抱き上げた。
「男の子だろう?そろそろ泣き止んでごらん。可愛い顔が台無しだ。おっと、男の子に可愛い、なんて言ったら怒るかな?」
咲夜を至近距離で見つめる顔はとても優しい。
ひく、ひく、と咲夜がしゃっくりを上げ始め、拓磨の父は、よしよし、と背中をポンポン、優しく叩いているうちに、泣き疲れたのか、拓磨の父に抱かれ、眠った。
結月は勇気を振り絞った。
「あ、あの、この絵なんですが...」
「ああ。見事だろう。私の曾祖父さんの知り合いが描いた絵らしいんだ。私もとても気に入っていてね」
「曾お祖父さんの知り合い...」
「ああ。君もこの絵が気に入ったのかい?」
「え、あ、はい」
「そうか、いつでも見に来るといい。ああ、そういえば、小説だったね。どんな作品が好きかい?」
咲夜を寝付かせ、朗らかに話しかけてきた。
これが、結月の拓磨の父との出会いだった。
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