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しおりを挟む両手で穂高の手を握り締め、結月は穂高の寝顔を見つめ続けた。
看護師が病室に戻るよう促しても、結月は離れようとはしない。
手を離してしまったら、瞼を閉じたら、穂高が遠くに行ってしまいそうで怖かった。
朝。
結月は遂には、床に座り込みベッドに額を預け、穂高の手を握り締めたまま、眠っていた。
病室を訪れた渋い顔の穂高の父を静止しようと拓磨と史哉は穂高の父の後を追った。
穂高の父は結月の肩に手を置いた。
「う、うーん...穂高先生...」
穂高の夢を見ているのか結月の寝言に穂高の父が一瞬、息を飲んだ。
「...結月くんを起こしてくれ」
穂高の父は怒っているのかと思った、拓磨と史哉だった。
穂高を巻き込んだ結月と眠っているとはいえ、事故以来、初めて対面したのだ。
目を覚ました結月は穂高の父に微かに怯えていた。
「...体に差し障る。お腹の子供ばかりではない、結月くんもだ。穂高はそんなに弱い子供に育てた覚えはないから安心して欲しい」
「...はい」
「元気な子供が生まれることを一番に望んでいるのは穂高だという事も忘れないでくれ」
穂高の父の真摯な瞳に、結月は穂高を見た気がした。
やはり、あの、穂高の父親だと。
穂高の父の言葉のお陰もあり、結月は穂高の為にも1人で元気な子供を産もう、と覚悟を決めた。
冬も中盤に差し掛かった頃だった。
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