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しおりを挟む「あ、そういえば。パパも釣り好きだったよね?お兄ちゃん」
不意に美希は思い出した。
「ああ、そういえば。良く、昔の同級生と釣りに行っては魚釣って来てたっけ。確か、ボートもあったような....」
拓磨は閃いた。
「父が日本に戻ってきたときは、有坂さん、父の釣り仲間になってあげてくださいよ」
その瞬間、有坂はぎょっと目を見開いた。
「と、と、とんでも御座いません、わ、私などがお父様と釣りなど、身分不相応で御座います!」
「釣りに身分は関係ないだろう。それに拓磨の家はうちと違ってアットホームな家庭だし、有坂も安心していい」
穂高の言葉にも、有坂は未だ動揺している。
「さ、左様で御座いましょうか....」
「にしても、パパ、いつ帰って来るんだろ、あ、一度、戻ってきたの、でもたったの二日」
美希は頬を膨らませた後、アップルパイに齧り付いた。
「忙しいんだろう。美希ちゃんはパパっ子なんだな」
穂高がからかうと、
「違うの」
美希は口を尖らせる。
「優磨お兄ちゃんがね、私のいない隙に翔ちゃんを口説いてるらしいの。だから、パパからも注意して貰いたいんだけど....」
優磨は拓磨の兄のバイセクシャルのβだ。
かつては史哉も口説かれていた過去がある。
「翔ちゃん、ノーマルなのに」
ハタチにしては、幼く、おとなしい翔太を穂高は見つめた。
翔太の表情からも困っているのがわかる。
「いいんじゃね?あいつにゲイにして貰えば」
「縁起でもないこと言わないでよ!お兄ちゃん!」
穂高は不意に美希ににっこり微笑みかけた。
「今度、遊びに行かせて貰うね、美希ちゃん」
「はい!是非!」
穂高を恐れる優磨だ。穂高が睨みを効かせれば一発だろう、と、美希は満面の笑顔を見せた。
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