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しおりを挟む「先程はすみません、つい。悪気は全くなかったとはいえ」
背筋をピン!と伸ばし、正座する隣の有坂に拓磨は謝罪した。
「ああ、いえ。とんでも御座いません。息子からはしょっちゅうのことで御座います」
「息子さんいらっしゃるんですか?」
向かい側の結月が尋ねると、ええ、と有坂は頷いた。
「男ばかり三兄弟でして。特に一番下の子供は反抗期の真っ只中で御座いますから。しょっちゅう、ジジイだとか」
「3人共に男の子なんですね」
史哉が感心したように目を丸くした。
「ええ、一番上が21歳で会社員を勤めております、次男は18歳で大学に通っておりまして、一番下が中1で13歳で御座います」
「えっ。結月と同級生ですか?」
史哉が尋ねる。
「ああ、いえ、早生まれですし、結月様より1つ下です。それに、結月様は中2で御座います。全く、少しは結月様を見習って欲しいものです」
そう言うと両手で持ったコップを傾け、ワインを口に含む。
「...ずっと気になってるんですが、いいですか?」
コップを置き、今度は慎重に拓磨は有坂に切り出した。
「ええ、勿論で御座います」
「気になってるだけなので、気分を害さないでくださいね。...普段もそうして、こう、背筋伸ばして正座して食事とかなされるんです?あと、口調も、なんていうか、御座います、とか丁寧な口調なんですか?」
背筋を伸ばし、正座をし、両手でワインの入ったコップを持ったまま、有坂が口を真一文字にし、固まった。
「そんな訳がないだろう、な、有坂」
穂高が有坂のフォローに回る。
「左様で御座います。ずっと堅苦しい訳では御座いません。さすがの私も私生活までとなると疲れます」
変わらず、姿勢を崩さない、有坂に、
「あー...少しはリラックスしていいぞ、有坂」
隣の穂高が有坂に声を掛けた。
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