1人のαと2人のΩ

ミヒロ

文字の大きさ
上 下
81 / 116

80

しおりを挟む

「先程はすみません、つい。悪気は全くなかったとはいえ」

背筋をピン!と伸ばし、正座する隣の有坂に拓磨は謝罪した。

「ああ、いえ。とんでも御座いません。息子からはしょっちゅうのことで御座います」

「息子さんいらっしゃるんですか?」

向かい側の結月が尋ねると、ええ、と有坂は頷いた。

「男ばかり三兄弟でして。特に一番下の子供は反抗期の真っ只中で御座いますから。しょっちゅう、ジジイだとか」

「3人共に男の子なんですね」

史哉が感心したように目を丸くした。

「ええ、一番上が21歳で会社員を勤めております、次男は18歳で大学に通っておりまして、一番下が中1で13歳で御座います」

「えっ。結月と同級生ですか?」

史哉が尋ねる。

「ああ、いえ、早生まれですし、結月様より1つ下です。それに、結月様は中2で御座います。全く、少しは結月様を見習って欲しいものです」

そう言うと両手で持ったコップを傾け、ワインを口に含む。

「...ずっと気になってるんですが、いいですか?」

コップを置き、今度は慎重に拓磨は有坂に切り出した。

「ええ、勿論で御座います」

「気になってるだけなので、気分を害さないでくださいね。...普段もそうして、こう、背筋伸ばして正座して食事とかなされるんです?あと、口調も、なんていうか、御座います、とか丁寧な口調なんですか?」

背筋を伸ばし、正座をし、両手でワインの入ったコップを持ったまま、有坂が口を真一文字にし、固まった。

「そんな訳がないだろう、な、有坂」

穂高が有坂のフォローに回る。

「左様で御座います。ずっと堅苦しい訳では御座いません。さすがの私も私生活までとなると疲れます」

変わらず、姿勢を崩さない、有坂に、

「あー...少しはリラックスしていいぞ、有坂」

隣の穂高が有坂に声を掛けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。 大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

上手に啼いて

紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。 ■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。

俺にとってはあなたが運命でした

ハル
BL
第2次性が浸透し、αを引き付ける発情期があるΩへの差別が医療の発達により緩和され始めた社会 βの少し人付き合いが苦手で友人がいないだけの平凡な大学生、浅野瑞穂 彼は一人暮らしをしていたが、コンビニ生活を母に知られ実家に戻される。 その隣に引っ越してきたαΩ夫夫、嵯峨彰彦と菜桜、αの子供、理人と香菜と出会い、彼らと交流を深める。 それと同時に、彼ら家族が頼りにする彰彦の幼馴染で同僚である遠月晴哉とも親睦を深め、やがて2人は惹かれ合う。

処理中です...