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しおりを挟むリビングに降りた結月は丁寧に折り畳んだ、パーカーを拓磨に渡した。
「洗濯機に放り込んでくれてよかったのに。あ、場所わかんないか。...あれ?つか、まだ美希、寝てんの?」
「美希ならとっくに出かけたわよー」
「出かけたって、こんな朝っぱらから!?」
拓磨の母が苦笑した。
「朝っぱら、て、もう九時過ぎよ?映画観に行く、て言ってたけど」
テーブルに人数分のごはんや味噌汁を並べながら説明する拓磨の母に、
「手伝います」
史哉が名乗り出る。
「映画...まさか、彼氏か、翔太とかいう...」
「...映画くらい、いいじゃないですか、拓磨さん」
思わず、結月が言明した。
「ほんと、美希ちゃんのこととなると、お父さん以上にお父さんだよね、拓磨」
拓磨の母を手伝いながら、史哉が笑う。
テーブルには拓磨の母の分も含め、全員分の朝食がずらり、並んだ。
「なんだか、すみません。僕たちの分まで。お手間かけてしまって」
それぞれ席につき、穂高が言うと、
「気にしないで。大勢で食事、て楽しいから好きだし。さ、お腹すいたでしょ。お代わりもあるから」
そうして、拓磨の母のご好意を穂高と結月も有難く受け取った。
帰り際。
「ね。今度、みんなでペアリング選びに行こうよ。穂高と結月もしてないし」
史哉に屈託なく言われ、
「そうだな。そうするか、結月」
「...うん」
先程、二人のキスシーンを瞼を覆い、見せなかったことを未だ根に持っているのか、結月の表情は固い。
自宅へと戻る車中、穂高は切り出した。
「...悪かったよ。俺は人前でああいうのしないたちだから」
運転する穂高を結月が横目で見る。
「...して欲しかったんだろ?あんな風に...頑張ってみるよ」
瞬く間に結月の顔が真っ赤になった。
「ち、違う。そうじゃない、そうじゃなくて」
「...違うのか?」
「昨夜、二人の話し、穂高先生から聞いたから...仲良くって微笑ましいというか...して欲しかった訳じゃ...」
「なんだ、そういうことか。....てっきり。あの二人はオープンだし、また見れるだろ、多分」
結月はようやく、薄ら笑みを浮かべる穂高に笑顔を見せた。
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