65 / 116
64
しおりを挟む「正直なとこさ、俺が唯一、心を開いた拓磨だから、史哉も俺と別れて良かったと思ってるし、安心できる」
たちまち、結月の表情が曇った。
「....やっぱり、穂高先生にとって、史哉さんは大切な存在なんだね....」
「....ああ。本当に嫌いなら付き合ってはないよ。ただ、当時の俺には気持ちの余裕がなかった。史哉の家庭の事情もさ、俺はどう解決してやればいいかわからなくて、ストレスになったんだ」
「....史哉さんの家庭の事情....?」
「中学になって知ったんだ。いきなり、史哉の性格が変わって。史哉について調べて貰ったんだ、単独で。幼少期から史哉は両親から虐待を受けて、実の兄からも虐められていたことを知ったんだ」
結月は驚愕で目を丸くした。
「史哉さんが虐待....?虐め?」
「ああ。あいつの兄はαだから。Ωが産まれて気に食わなかったんだろ。中学になって、史哉はその理不尽さに気づき、飽き飽きしたんだろうな」
「そんな....史哉さんのせいじゃないのに....」
「だよな。俺も史哉が居ないときに史哉の親に尋ねても、認めようとはしないし。俺にゴマすりばかりで。多分、拓磨はそこも乗り越えたんだと思う」
「....確かに、史哉さん、最近、変わった。前はなんかつんつんしていて、怖かった...」
結月を膝に抱いた穂高は笑顔になった。
「拓磨のお陰で、本来の自分を取り戻せたんだろうな」
「そっか、そうだったんだ....。幸せになって欲しい....史哉さんも拓磨さんも」
「拓磨と一緒なら大丈夫だよ、史哉は。俺もお前を幸せにする為に負けてらんないな」
「....穂高先生....」
結月は穂高の膝の上、穂高の優しい笑顔を見下ろした。
2
お気に入りに追加
145
あなたにおすすめの小説
元ベータ後天性オメガ
桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。
ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。
主人公(受)
17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。
ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。
藤宮春樹(ふじみやはるき)
友人兼ライバル(攻)
金髪イケメン身長182cm
ベータを偽っているアルファ
名前決まりました(1月26日)
決まるまではナナシくん‥。
大上礼央(おおかみれお)
名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥
⭐︎コメント受付中
前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。
宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。



【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる