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しおりを挟む一部の荷物は拓磨の部屋へ運び、郵送を頼んだ商品は待つだけだ。
美希も共に、全員でティータイムとなった。
「さっきはごめんね、結月くん。私、たまに喋りすぎるとこあるから」
穂高の隣に座る結月の隣。
結月を見ながら素直に美希はティーカップ片手に謝った。
「ううん。大丈夫。ちょっとびっくりしただけだから」
隣の美希に結月は微笑んだ。
「あ、そうだ。昨夜、美希が焼いたパウンドケーキがあったんだった。切り分けましょうか」
拓磨の母が立ち上がり、冷蔵庫から箱を取り出し、キッチンに立った。
「お菓子作り、好きなんだ?」
「うん!」
「僕も最近、練習中なんだ、今度、良かったら教えて」
「あ!だったら、僕も混ぜてよ!」
美希がお菓子作りをすることを知り、結月と史哉が興味津々だ。
「うん!いいよ!みんなでお菓子作りしよ!」
「で、どうだった?美希。翔太くんは美味しいって食べてくれた?」
キッチンでケーキを切り分けながら、拓磨の母が美希に聞く。
「うん!美味い!て、パクパク食べてくれたあ!また作ってって言われたし、次、なんにしようかなあ」
そんな何気ないやり取りに拓磨の顔色が変わった。
「翔太?翔太って誰だ、美希」
テーブルを挟み、正面に座る美希に拓磨が詰め寄る。
明らかに、うるさいなあ、と美希も顔を顰める。
「お兄ちゃんには関係ないでしょ」
「彼氏か?美希。まさか、彼氏じゃないだろうな」
「美希ちゃんだって、もう18なんだし、彼氏の1人や2人いたっておかしくないだろ、拓磨」
穂高の涼しい声に拓磨は反発した。
「1人や2人って....てか、お前は一人っ子だし、妹がいないから気持ちはわかんねーだろうよ。で、まさかもう、やってやしねーだろうな、美希」
「心配しなくても、ちゃんと避妊してるから大丈夫だよ」
「やっぱり、やってるんじゃねーか!誰だ、どんな奴だ、今度、連れてこい!」
困ったわね、と拓磨の母がパウンドケーキに生クリームを添え、それぞれの前に置いた。
「....確かに」
穂高は腕を組み、考えた。
「俺にもし妹がいたら....拓磨より厳しいかもしれないな....」
「そ、そうなんだ....?」
結月が恐る恐る聞くと、うん、と穂高は応え、
「場合によっては相手を殴るだけじゃ済まないかもな」
穂高の想像が目に見えるように感じ、拓磨も思わず、黙り込んだ。
美希もまた、穂高の妹でなくて良かった、と胸を撫で下ろしながら、紅茶を啜った。
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