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しおりを挟む「僕、何処かで穂高に自分を重ねていたんだと思うんです。穂高はいつも1人だけど、それを全然、気にしてる感じはなくて...」
俯きがちに微かに笑みを浮かべながら史哉が切り出した。
「いつも、穂高のことや、穂高のことだけじゃない、僕の家庭事情まで、拓磨には関係ないのに、自然と拓磨には話せてました。たまにきついこと、言われたりもしたけど....拓磨がいなきゃ駄目だ、て僕、ようやくわかりました」
不安げに微笑む史哉の話しを拓磨の母は笑顔で見守りながら聞いていた。
「....そう。でも、拓磨を選んでくれてありがとうね。もし、酷いこと言われたりされたりしたら、私に言って。私が拓磨に言い聞かせるし、場合によっては殴ってあげる」
えっ、と史哉の表情が一変した。
「な、殴る...な、殴らなくて大丈夫です、拓磨はたまにきついこと言うけど、僕を思ってのことだから」
少しずつ柔らかい空間に変わっていく。
「改めて。これから、よろしくね、史哉くん」
「....はい。お母さん」
「父さんも問題ないと思うから、あとは史哉の両親だな」
たちまち、史哉の表情が曇った。
「大丈夫だよ。俺だけじゃない、俺たち家族がついてる。....兄貴を除いてはな」
史哉は拓磨の最後のセリフに苦笑するしかなかった。
拓磨の家に行くたび、いつも口説かれるからだ。
「じゃ、史哉の家に行くか」
「まあ、そう慌てなくっていいじゃない、お昼くらい食べていきなさいよ。今日、ハッシュドビーフにしようかと思うんだけど、史哉くん、大丈夫かしら、苦手なら他のもの、作るけど」
史哉に拓磨の母が尋ねると、
「大好きです」
首をぶんぶん横に振り、笑顔を見せた。
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