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しおりを挟むウッド調でカントリー風な間取りやインテリアは父の嗜好だ。
拓磨の母に招き入れられ、拓磨と連れ添いリビングに入るとソファに座っていた、拓磨の兄の優磨がいた。
「いらっしゃい、史哉くん、久しぶり。今日も可愛いね」
ソファから仰け反り、誘うような甘い視線を史哉に送る。
優磨はβだが、バイセクシャルで両親も知っている。
男女お構い無しに手を出すプレイボーイだが、両親ともに妊娠だけはさせないよう、もしさせたら責任を負うこと、従わなければ、追い出す、と厳しく言われてはいるが。
両親は子供たちは好きなことを自由に、なポリシーを持つ関大な両親だ。
父は昔は日本で教師をしていたが、子供たちは好きな仕事に就いてくれ、元気で明るく優しい子であればいい、な思考。
母も天真爛漫ながら同じく。
拓磨は史哉を優磨に見られないよう背後に隠した。
喧嘩になるのも面倒なので、無視し、テーブルにいる母に歩み寄り話しかけた。
「話しがあるんだけど」
肩肘を付き、雑誌を読んでいた母が顔を上げた。
「話し?どうしたの、改まって」
拓磨は史哉も促し、母の正面に隣り合わせて座った。
「俺たち、付き合ってるんだ。それと...史哉のお腹、俺の子供がいる」
母は目を丸くしたが、すぐに笑顔に変わった。
「あら!良かったじゃない!でも、あら?史哉くん、穂高くんと付き合っていなかった?」
小学生の低学年の頃に拓磨は史哉に出会い、一目惚れした事を
嬉しそうに話した過去がある。
『あのね、あのね、ママ!とっても可愛い子がいたの!』
『へえ!どんな子?』
『天使みたいな子!髪は茶色くてね!ふわふわ巻いてて、目はくりくりでね!あ!瞳も薄い茶色なの!肌は真っ白!お人形さんみたい!その子が笑うと周りの空気がね!なんかね、なんかね、こうキラキラする!』
『へえ!好きって言った?』
『ううん、言ってない。言えないの。その子、いっつも、穂高くんと一緒なの。好きなのかも』
しゅんとする拓磨に、腰を降ろし、視線を合わせた。
『お友達なだけかもしれないじゃない』
『そうかなあ』
『拓磨は気にしすぎ』
微笑み、拓磨の頭を撫でた。
付き合い始めた事を知り、大学に上がる前、
『もう、史哉は諦めた』
投げやりに拓磨は呟いた。
「穂高とは、とっくに別れました...元々、僕がしつこくして付き纏ってたようなものだから」
切なそうな表情に拓磨も拓磨の母も史哉を見守るように見つめ押し黙った。
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