1人のαと2人のΩ

ミヒロ

文字の大きさ
上 下
48 / 116

47

しおりを挟む

「おはようございます。よく眠れました?」

史哉と拓磨は1階に降り、結月と穂高を探すと2人は既にキッチンと繋がった、ダイニングテーブルのある一室にいた。

エプロン姿で振り返る、結月の笑顔は眩しい。

「お洋服、洗濯も済んで、リビングにありますから」

「ありがとう、結月、悪いね」

安定期に入り、お腹の目立つ結月に史哉は素直にお礼と謝罪の言葉を口にしたが、結月は、微笑んだ。

「いえ。そんなことより、お腹すいたでしょう?もうすぐ、朝ごはん、出来ますから、座って待っててください。あ、コーヒーでも飲みますか?」

一通りは朝食が並んではいる、テーブルを史哉と拓磨は見つめる。

穂高が立ち上がり、

「俺が煎れるから、いいよ。結月」

結月の隣に立った穂高を結月は見上げ、笑顔を向ける。

史哉と拓磨はどうやら騒がしい、庭の方を振り返った。

「有坂の提案で、桜の木を植樹してるんだ。有坂が知り合いの業者を手配してくれてな」

両手に湯気を立てるコーヒーを持ち、何事だろう、と振り返っている2人に説明した。

「桜かあ....結月の出産、春、て言ってたもんな、確か」

拓磨が業者たちを眺めながら言うと、穂高は、ああ、とテーブルにカップを置き、ダイニングテーブルの椅子に腰掛けた。

続けて、拓磨と史哉も並んで椅子を引いた。

「お待たせしました」

全員分の味噌汁を結月はテーブルに運び、並べた。

既にテーブルには、鮭の塩焼き、玉子焼き、ほうれん草の胡麻和え、プチトマト、白米とが揃っている。

「凄いな....。結月が作ったの?」

「ええ、まあ...玉子焼きはまだ練習中で、少し歪ですし、お口に合うかわかりませんが」

結月がそれぞれの前に味噌汁を置き、全員で朝食を取った。

「うん。美味しい」

「頑張ってるな、結月」

史哉と拓磨の優しい声に、結月は少し照れた笑顔で応えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

Ωの不幸は蜜の味

grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。 Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。 そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。 何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。 6千文字程度のショートショート。 思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。

上手に啼いて

紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。 ■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。

君はアルファじゃなくて《高校生、バスケ部の二人》

市川パナ
BL
高校の入学式。いつも要領のいいα性のナオキは、整った容姿の男子生徒に意識を奪われた。恐らく彼もα性なのだろう。 男子も女子も熱い眼差しを彼に注いだり、自分たちにファンクラブができたりするけれど、彼の一番になりたい。 (旧タイトル『アルファのはずの彼は、オメガみたいな匂いがする』です。)全4話です。

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。 大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

処理中です...