45 / 116
44
しおりを挟む穂高から史哉と拓磨の寝間着を預かった結月は浴室やトイレなどを案内した。
先にお風呂を済ませていた、結月は、
「穂高先生はああ言ったけど、部屋も若干、離れていますし、気にしないでくださいね、僕は先に寝ますけど、最近、爆睡だから」
2人を考慮し、明るく結月が言う。
「あ、ありがとう?でいいのかな」
「結月ではなく、穂高がうるさい、て怒鳴り込んで来そうだけどな」
戸惑う史哉と苦笑する拓磨。
「じゃ、ごゆっくり。あ、バスタオルはこの棚にあります」
浴室手前の脱衣所にある棚を指差し、結月は2人に寝間着を手渡し、軽く頭を下げた。
「お先におやすみなさい」
「おやすみ、結月」
脱衣所に立ち尽くす、史哉と拓磨。
「....これ、て、2人でお風呂にどうぞ、てことだよね」
「だな。2人で風呂に入るのはさすがにもう慣れたろ?」
史哉は寝間着を抱いたまま、俯き、瞬きもせず、硬直している。
「なんだ、まだ、照れてんの?」
拓磨が不屈に笑い、史哉の頭を撫でた。
「ば、場所が違うもん」
「まあ、ラブホテルと穂高たちの愛の巣だしな、違うっちゃ、違うよな」
そうして、史哉と拓磨は一緒に湯船に浸かっている。
後ろから抱き締めるように拓磨に史哉は背中を預けた。
「....結月たちもこうして、一緒にお風呂に入るのかな」
「さあ?本人に聞いてみたら?」
ラブホテルとは違う、柔らかいアイボリーで統一された浴室。
「史哉」
拓磨が史哉の顎を持ち、キスしようとしたが、史哉は頬を染め、その手に抗った。
「し、神聖な、浴室なんだから、ダメ」
「神聖な浴室....?」
拓磨の気の抜けた声が一瞬で爆笑に変わる。
「神聖な浴室、てなんだよ」
「だ、だって、2人が愛し合ってる、そ、その、2人の愛情の詰まった浴室だから」
恥ずかしそうに俯く史哉に、拓磨はキスは諦め、ギュッと力強く、背後から史哉を抱き締めた。
2
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
上手に啼いて
紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。
■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
君はアルファじゃなくて《高校生、バスケ部の二人》
市川パナ
BL
高校の入学式。いつも要領のいいα性のナオキは、整った容姿の男子生徒に意識を奪われた。恐らく彼もα性なのだろう。
男子も女子も熱い眼差しを彼に注いだり、自分たちにファンクラブができたりするけれど、彼の一番になりたい。
(旧タイトル『アルファのはずの彼は、オメガみたいな匂いがする』です。)全4話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる