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しおりを挟む「...穂高先生」
ベッドで仰向けになり、額を抑える穂高に結月は小声で声を掛けた。
いつにもなく、穂高が憔悴しているように見えた。
やり切れない思いで結月は穂高の隣に寝そべり、腕に手を回し、穂高を見上げた。
「...ごめんね、穂高先生....」
「....結月が謝る必要はないだろう」
瞼を閉じたまま、薄く口を開き、穂高は結月を安心させるよう、努めて優しく呟く。
結月は穂高の腕に巻き付けていた自らの腕に力を込め、穂高に体をくっつける。
「....やっぱり、変わってないね。穂高先生も僕達も....」
結月の声に穂高はゆっくり瞼を開き、結月を見た。
「見返りもなく、献身的に尽くしてくれる。僕は前世でも、そんな穂高先生に甘えてばかりいた...穂高先生はあの頃、僕より年下だったのにね....」
結月は穂高ではなく、切ない瞳で天井を見上げていた。
「穂高先生があの頃、子供が出来なくて悩んでるのに、僕は、気にしなくていい、て笑ってばかりで....病院で検査や治療すら頭にはなかった」
穂高は結月の真摯とした瞳を見つめた。
「....結月が悪い訳じゃなかった」
「ううん。考えが浅かった。穂高先生の気持ちを無視してた。....もう繰り返したくない」
そこまで言うと結月は体を穂高に向け、視線を合わせた。
「明日、病院に連れていって欲しい」
「....病院に....?」
「検査したいんだ。穂高先生も協力して欲しい。血液検査をして欲しい」
まっすぐな結月の瞳を捉えながら、穂高は不安に駆られた。
自分の遺伝子に変わっている、という保証はない。
「ね?お願い。検査したいんだ、僕」
「....怖くないのか?」
「....少し怖いけど、今世ではもう逃げたくないんだ、史哉さんのお陰で気づかされた」
「....史哉に?」
うん、と結月は頷いた。
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