1人のαと2人のΩ

ミヒロ

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次の日。

いずれはバレるのだろうが、念の為、医師会の父に勘づかれないよう、以前とは違う病院に結月と共に訪れた。

検査の結果から、お腹の子供に支障は無かった。

結月は安堵した。

いつしか、結月の中で母性が生まれていたのだ。

最初のうちは誰の子供かもわからない、結月を困惑させた存在。だが、次第に結月は自分のお腹の子供には罪はない、と思うようになっていた。

「しかし、なにか心配ごとでも?」

「え、あ、いえ...例えばの話しなんですが...既にΩの体にαとの子供がいて、別のαと性行為をした場合、子供への悪影響などは無いのでしょうか...」

さすがに穂高は冷静になれず、どもりながら、医師に尋ねた。

しばらく、医師は穂高を見つめていた。

「...Ωとαの妊娠は通常の妊娠とは異なります。通常の妊娠であれば染色体に問題はありません。ですが、Ωの場合、優劣な αの遺伝子を引き継いで入れ替えてしまう場合がありますね」

「...それは、つまり....?」

「まだ未成熟な胎児の場合、父親が入れ替わってしまう場合がある、ということです」

「.....父親が変わる....?」

「ええ。Ωの体もΩの子供もより優秀なαを選び、父親にすることを望みますから」

結月と穂高は言葉を失った。

「....それはいつわかるのですか....?」

「αの血液すらあればわかりますよ。子供の遺伝子を調べることは早期に可能ですから」

医師の言葉を聞き、結月と穂高は自然と目が合った。

もし、穂高の持つ遺伝子がお腹の子供のものより勝っていれば、穂高の遺伝子を継いだ子供になっている....。

「....帰ろう」

結月は穂高を促し、立ち上がった。

結月の後を追い、穂高もゆっくり歩いた。

「....もし、穂高先生の遺伝子を継いだ子供になっていたとしても、違っていても、僕はいいんだ。この子が無事に生まれてきてくれたらそれで」

並んで歩きながら、清々しい顔をした結月を穂高は眺めた。

子供が子供を成長させ、大人にさせるのかもしれないな....。

結月の手を握ると、結月もぎゅっと穂高の手を握り返した。

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