22 / 116
21
しおりを挟む結月も不思議と瞼を閉じ、穂高の肩に手を回し、舌を絡ませていた。
穂高は結月と激しくはないが、求め合うようなキスに瞼を閉じていたが、不意に涙が溢れ、結月の頬に零れ落ちた。
頬に落ちた穂高の涙の感触に結月はゆっくり瞼を開け、穂高の瞳を見つめた。
「...あの頃、俺がΩだったんだ....。俺を置いて結月は死んだ....。結月が死んで、俺、俺は....」
穂高の瞳から涙が溢れ、結月の頬に落ちたとき、結月もまた、昔の記憶が蘇っていた。
「僕...僕は....穂高先生の番だった....」
ずっと寝付けない夜を過ごしてきた。
特に穂高は夜が嫌いだった。暗闇はまるで自分を孤独の淵に追いやるようだった。
結月もまた、穂高と眠ると安らぎ、落ち着いた。
2人は口付けと同時に、前世では当時、結月は穂高より年上のαであり、穂高は当時、結月よりも年下のΩだったことを思い出した。
「...もう俺を置いて逝かないで....」
結月を見つめる穂高の瞳から涙が溢れ、止まらなかった。
結月を放っておけず、傍にいたい、と何故か心底、願っていた。
単に、自分の不始末だから、という訳だけでは無かった。
2人が前世で番だった頃、結月は病気で穂高を置いて先に亡くなってしまい、穂高は途方にくれ、孤独な人生を歩んだ。
前世で結月と穂高は喧嘩1つしたことがない、とても仲の良い番であった。
前世で結月を失い、孤独なまま生涯を終えた、当時はΩだった穂高は、今世で、前世で叶わなかった、結月との時間を補っていたのだ。
結月は穂高を抱きしめた。
「置いていかない、もう置いていかないよ」
結月も自分が穂高に看取られる前世の記憶が脳裏に蘇っていた。
横たわる自分の手のひらを当時、自分より年下だった穂高が包み込むように握っていてくれた。
結月にとっても穂高はかけがえのない存在であり、息を引き取るまで、穂高を愛し続けていた。
再び、2人の唇が重なると、結月の全身から柔らかい優しい大輪のような香りが放たれ、穂高の心や体内にも優しく癒され、そして、穂高の中の雄、が突き動かされた。
結月の唇から首筋に舌を這わせているうちに無意識に結月の喉元を噛んだ。
「穂高先生...!」
番の証を無意識に付けたあと、穂高は初めて、淡く柔らかいヒートした結月の体に反応した。
パジャマを脱がせ、乳首を舌でなぞり、掛け布団を優しく剥がした。
互いに全裸になり、穂高は結月の脚を掲げ、アナルに舌を這わせた。
「あ、ああ...っ」
頬が紅潮した結月から甘い吐息が漏れた。
12
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
大晦日あたりに出そうと思ったお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
イケメンに惚れられた俺の話
モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。
こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。
そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。
どんなやつかと思い、会ってみると……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
上手に啼いて
紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。
■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
俺にとってはあなたが運命でした
ハル
BL
第2次性が浸透し、αを引き付ける発情期があるΩへの差別が医療の発達により緩和され始めた社会
βの少し人付き合いが苦手で友人がいないだけの平凡な大学生、浅野瑞穂
彼は一人暮らしをしていたが、コンビニ生活を母に知られ実家に戻される。
その隣に引っ越してきたαΩ夫夫、嵯峨彰彦と菜桜、αの子供、理人と香菜と出会い、彼らと交流を深める。
それと同時に、彼ら家族が頼りにする彰彦の幼馴染で同僚である遠月晴哉とも親睦を深め、やがて2人は惹かれ合う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる