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しおりを挟むしばらくすると、結月は夜、穂高のベッドで共に眠るようになった。
穂高と眠ると何故か嫌な夢を見ることもなく、心地よい、と結月は穂高を信頼していた。
結月には言わなかったが、穂高も同じだった。
寝付きが元々悪く、1人の時も、史弥と裸でベッドに並んでいても、史弥の熟睡する寝顔を眺め、結局、その後はしばらく、天井との睨み合いが続く。
パジャマを着たまま寄り添い眠る、結月の寝顔を見つめた。
艶やかな黒髪に長いまつ毛、鼻筋が通り、あどけなさの中に、きっと歳を重ねたら、誰もが振り返る、毅然とした美青年になるに違いない。
史弥は全ての色素が薄く、ハーフのような出で立ち、声も艶やかで、色気で人を引き寄せる。
全く異なるΩだ。
しかし、元は結月はα。
もし、結月がΩに変異しなかったら、どうなっていたんだろう...。
優秀なαとして、素晴らしいΩと出会い、番にしたのだろうか...。
どちらにせよ、Ωに変異しなかったら、自分と結月が出会う可能性はなかっただろう。
あったとしても、互いにαの生徒とαの保険医という立場で意識することなく、素通りしていたんじゃないだろうか...。
穂高は眠る結月の前髪を指でそっと払い、おでこにゆっくり軽い口付けをした。
その瞬間、眠っていたはずの結月の瞳が開いた。
「...穂高先生....?」
間近にある、穂高の顔を結月は見上げた。
ベッドの中の薄闇で穂高と結月、2人の瞳が交差した。
長い時間のように感じた。
自然と互いの瞳を見つめていた。
まるで引き寄せられるように、穂高と結月の唇が重なった。
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