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しおりを挟む木彫のシンプルながらインテリアにこだわったバー。
「拓磨も家庭教師なんてさせられて、飛んだ迷惑を被ったね」
モスコミュールを揺らし、史哉が頬杖をつく。
史哉は行きつけのバーに友人の拓磨を呼び出した。
「そう言うなよ。一番、辛いのはあの子なんだから」
「振られた僕は辛くないとでも言いたいの?」
拓磨はため息をついた。
いつもこうだ。
穂高の話しとなると、いつも自分が聞き役になる。
隣に座る体を傾けた史哉の柔らかいウェーブの髪からほんのり淡い甘い香りが漂った。
史哉は出会った頃から穂高しか眼中にない。
いつもいざとなると話しを聞くのは自分なのに。
小学校で穂高に付き纏う、小柄なハーフのような少年に一目惚れした。
あどけない笑顔は穂高の為の笑顔。
穂高と同じく、拓磨もαだ。
「...酒強くないんだから飲みすぎんなよ」
「カクテルだもん、大丈夫だよ」
「その甘さに余裕こくから酔うんだよ」
うるさい、とばかりに史哉は飲みかけのモスコミュールを飲み干した。
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