1人のαと2人のΩ

ミヒロ

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医師会の理事長でもあるが、結月の通う学校の責任者でもある父に、しばらくは結月に付き添いたい、と願い、穂高は保健医を休み、代理の保健医が代わりに宛てがわれた。

穂高がいなくとも穂高を幼少から知る執事や家政婦、家庭教師もいる。

不安はないが、今はなるべく、不安定な体の結月の傍にいてあげたかった。

家庭教師に教わりながら、真新しい学習机で勉学に励む結月を見守った。

「うん!今日はここまで。結月は飲み込みが早くて助かるよ」

穂高の親友である拓磨に家庭教師を依頼した。

結月が満更でもない笑みを拓磨に返す。

「もう遅くなったし、拓磨も一緒に食事していくか?」

「いや、今日は遠慮しておくよ。帰ってレポートも書きたいし」

拓磨は大学院生だ。

「悪いな、お前の勉強の邪魔して」

「謝るなよ。復習みたいで俺も楽しいよ」

拓磨とは小学校で知り合った。史哉と拓磨もまた友人として親交がある。

「史哉もなあ、本当、昔からお前ばっか見ていたからなあ。内心は辛いんだと思うよ、昔から気ばかりは強いけど」

執事の早坂に差し出された湯気を立てるコーヒーのカップを渡され、ありがとう、と拓磨が飲んだ。

結月と穂高は一緒に食事をした。

「ほら、口、付いてるぞ」

口元のソースを拭ってあげた。

「来週の誕生日。なにか欲しいものはあるか?結月」

「うーん」

結月が口を尖らせ宙を見る。

「考えておいて、結月」

「うん!」

そうして、別々に風呂に入り、穂高はベッドで1人、なかなか眠れずに天井を見上げた。

「穂高先生...」

パジャマ姿の結月が布団に潜り込んできた。
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