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しおりを挟む旅行明け。
久しぶりの登校日。
ガラガラ、といつもの真顔で、1-Bの教室を開けた。
「奏斗さーん!」
明るい笑顔の蓮太くんに拍子抜けした。
夢...?瞼を擦るが、変わらず、蓮太くんは満面の笑みで踵を上げ、大きく手を振っている。
制服、僕と同じ、グレーのブレザーに小豆色のネクタイ....
「編入して来ちゃいましたー!」
「へ、編入...?」
旅行から2日しか経ってませんけどー!
なんて素早い行動力!
「やっぱり、兄と交際し始めたので、なるべく、一緒にいるのが妥当だと思いまして」
「....慶太さんが、学校でヒートを起こす前提、ではないよね...?」
「あ!それは、もちろん!」
貞操を守る為に、慶太さんは蓮太くんの過去作のハリセンを忍ばせ、眠るようになったらしい。
そして、蓮太くんは慶太さんと良く似た、小柄で細身な美少年なことから、Ωに間違われたり、αから口説かれたりもする。
「僕を口説くなー!あほんだらー!」
パーーン!
「僕はΩじゃなーい!」
パーーン!
慶太さんにはハリセンを使わなくなったが、不躾なαにハリセンを使いまくり、Ωの生徒から、素敵...ハリセン王子、と心酔されている。
僕と一緒にいると、何処からともなく、
「あ、ほら。クールキュートとハリセン王子」
コソコソ話しされ、クールキュート?と僕は目を丸くした。
「あ、チャイムが鳴った。お兄ちゃん達のクラスに行こ!」
「はい!」
何故か、クラスメイトになったのに、変わらず、敬語な蓮太くん。
僕と蓮太くんは並んで歩き、兄の優斗、恭一さん、大貴さん、蓮太くんの兄の慶太さんのいるクラスへ向かう。
学園祭は、慶太さん、蓮太くん兄弟のコントが楽しみだし、騒がしくも楽しい学園生活になりそうです。
ちなみに、蓮太くんの願いも虚しく、慶太さんはなかなかヒートが起きる気配はありません
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