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しおりを挟む恭一さんはクールなイケメン、大貴さんはあどけなさの残る可愛い顔立ち、慶太さんに至っては、目を見張る程の美少年。
だが、慶太さんが大の相撲好き、という事以外、僕はなにも知らない。
学校から並んで歩く帰り道。
「ねえ、お兄ちゃん」
「ん?どした、奏斗」
「恭一さんと大貴さんって仲悪いの?」
んー、と兄が宙を仰ぎ、唸った。
「どうだろ。仲悪いって訳じゃないし、特別、仲がいいって訳じゃないような...ほら、2人、幼稚園から幼馴染み、ていうか、2人に言わせたら腐れ縁だから」
「えーっ!」
「どした?」
「2人、幼馴染みだったんだ!?」
「知らなかった?まあ、あんま2人も触れないもんな。それより」
「ん?」
「猫カフェ、楽しみだなあ」
見上げた兄の顔は蕩けそうな笑顔。
「いっぱい、猫とじゃれようね、お兄ちゃん」
そして、僕とも。
「だな、ああ、楽しみすぎるー!」
大喜びするお兄ちゃん、可愛いなあ。
提案して良かった、と思った僕なのでした。
が。
次の日曜日。
「...可愛な、奏斗」
言われたかった言葉ですが、切ない笑顔と声の隣の兄に困惑する僕がいます...。
「う、うん...」
何故か、猫好きな兄には一匹も寄り付かず、僕にわんさか猫が集まって来てしまい...
僕の膝には二匹、周りには五匹、頭の上に子猫が丸くなり眠っています。
しゅんとしながら、僕に懐いてしまった猫たちを羨ましそうに見つめる兄の切ない瞳...。
不憫になり、一匹の子猫を兄の膝に置きました。
暫し、兄と見つめ合った後、コロン、と兄の膝の上で横たわります。
「か、か、可愛い....」
そっと、兄は子猫の頭や顎の下を撫で、ゴロゴロと喉を鳴らし...
僕は次第に...子猫がムカついて来ました。
僕だって、お兄ちゃんの膝で眠りたいのに!
頭を撫でられ、可愛いね、て言って貰いたい...!
一瞬、子猫がちら、と僕を見て、僕の怒りに満ちた瞳とぶつかりましたが、子猫はふん、と首を振り、お兄ちゃんに甘え出しました。
僕のお兄ちゃんなのに、この、泥棒猫ー!
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