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しおりを挟む「浴衣、脱いで。染み抜きやってみる」
そう言うと、瞬はクローゼットからスウェットを取り出し、リクに渡しました。
瞬に背中を向け、帯を外し、浴衣を脱ぐ、その後ろ姿に瞬は秘かに目を奪われました。
白く小さな背中、小さな形のいいお尻を包む黄色のボクサーはすぐに自身のスウェットで見えなくなりました。
慌てて、リクの着ていた浴衣のソースの染み抜きに取り掛かります。
「どう?」
説明書を見ながら、ポンポン、染み抜きシートや濡れたタオルで浴衣を叩いて座る瞬の隣に、瞬のスウェットを着たリクが座ります。
「な、なんとかなるかも」
間近にリクの顔があり、ドキドキしながら作業に集中しました。
時間はかかりましたが、リクの浴衣についたソースは綺麗になり、2人はホッと胸を撫で下ろしました。
その時でした。
ヒューん....ドーン!
思わず、瞬はカーテンを開けると窓半分に打ち上げ花火が見えます。
「悪いな、こんな遠くからしか見れなくて」
「瞬のせいじゃないし。見れただけ良かったよ。それに染み抜きもありがとう、助かった」
隣で花火に見蕩れる、リクの端正でありつつ、可愛いらしい横顔を見つめました。
「なあ、覚えてる?高1のとき、俺、お前のこと、女みてー、て呟いちゃってさ」
「覚えてる覚えてる、入学式が終わってすぐだったよね」
「いきなり飛びかかってきて、ぶん殴ろうとされて仲介入ったよな。見かけによらず、負けん気強えんだな、てびっくりした」
「...こんな見たくれだけど、一応、俺が長男だからさ。2人を守る為にも1番、俺がしっかりしてないといけないから」
次々と夜空を彩る花火を見たままのリクは口元が綻んでいます。
「綺麗だな」
「だな」
ふと、瞬と目が合いました。
リクは花火に見蕩れていましたが、瞬が見蕩れていたのはリクでした。
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