ゲイの修羅場に鉢合わせてしまいまして。

ミヒロ

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好きな人...

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「...その、好きになった人、て、どんな奴...?」

すっかり蓮はトーンダウンし、肩を落としてる。

「....僕とは住む世界が違う人....」

俯きボソッと呟いた。

「住む世界...」

「え、あ、海外にいるんだ!だから」

「海外?」

目を見開いた。まさかの海外?

「そ、そう」

「海外、て?何処?」

「え?えっと、エクアドル!」

「エクアドル!?そりゃ世界、違うわな...。言葉も文化も何もかも違うだろうし、て、なんでまたエクアドルの男と知り合ったんだ?」

「え、SNS」

「...SNS」

あー、そういや。以前、インスタやってるとか言ってたっけ...。

「....てか、日本語、出来んの?そいつ」

「え?う、うん」

ひたすら俯いたままで忙しなく瞬きしながら絡ませた両手の指を眺めてる。

「...会ったことあんの?」

ピク、と一瞬、肩が動いた。

「....あるんだ?」

「で、でも何もしてないよ。だって相手はノンケで女の子が大好きだから...」

めっちゃ報われない恋じゃねーか。

しかも、エクアドル!?

「....大地、て奴を嫌いになったんじゃないよな...?」

蓮がこくん、と頷く。

「わざわざエクアドルの男を好きになるとか無謀すぎるだろ....」

「わ、わかってるんだけど...」

蓮の涙が頬を転がっていく。

「優しくて...一緒にいたら楽しくて...いつも一緒、て訳じゃないけど、でも」

俺は蓮の唇を奪ってた。

真ん丸で微かに涙で揺れる瞳を見つめたままキスをし、離れた。

「な、な、なんで....」

蓮がわなわなと震えてる。

「....したかったから。ごめん」

途端、蓮が泣き出した。

....やっちゃったな...と思いきや。

「な、な、なんでっ、キスするのー!」

「だから、ごめん、て」

「僕のこと、好きでもない癖にー!」

「いや、好きだよ、蓮のこと」

蓮の動きが固まった。

グス、と鼻を啜ってから、

「....今、なんて...?」

「だから。好きだよ、蓮のこと」

暫く呆然としたかと思いきや、また泣き始めた。

「....そんなに嫌か、俺のこと」

自嘲の笑みを浮かべると、俺を見ないまま、蓮は首を横にぶんぶん振った。

「嬉しいけど!孝介、ノンケだから怖いんだもんー!!!」

「なにが怖いわけ?」

「だ、だって...孝介、ノンケだし、浮気されそう。それに、いつかは女の人と...結婚しちゃうでしょ....?」

うるうるした瞳に俺は微笑み掛けると蓮の体を強く抱き締めた。

「結婚なんて、考えた事ない」

俺は実家の事情を話した。

俺の父親は脚本家。結構、有名なドラマや映画も手がけてる。

仕事はともかく、女遊びが酷い。

4回、結婚と離婚を繰り返した為に、俺には4人の母親がいたし、義理の兄や姉がいた。

今は20歳以上離れた女と交際中で実家に住んでる。

だから、俺は滅多な事がなきゃ、実家には帰ってはいない。

「そんなんだから結婚への憧れがこれっぽっちも無い」

話しを聞いていた蓮は複雑そうだった。

「お前といると、普通に楽しいし、楽だし、なんに対しても一生懸命で。そして、良く笑うし純粋なとことか。惹かれていくのがわかった。....正直、困惑した。けど...お前をエクアドルの訳わかんない男に渡したくない」

真ん丸な目して俺の目を見つめてる。
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