ゲイの修羅場に鉢合わせてしまいまして。

ミヒロ

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「あー!美味しかったー!お腹いっぱい!」

「だな、美味かった」

「幸せすぎて死んでもいい!」

「や、死ぬなよ」

「例えだよ、例え!それに孝介の服も洗って返さなきゃだしー」

服を鼻先まで引っ張り、

「うっわ。焼肉くさ」

思わず苦笑した。

「そりゃ、俺も同じ。じゃ、またな」

「うん、気をつけて帰ってね!」

「それ、俺のセリフ」

「服、返すとき、連絡する。あ!服、ありがと!帰ってから楽しみ!」

ビニール袋を掲げ、少し照れた明るい笑顔。

そうしてその日は二人で焼肉を満喫した。

次の日には、

「服、いつ返そうかー?あと服、ありがとう!めっちゃいい感じ」

「気に入った?」

「うん!かなり!」

再会したのはそれから3日後。

初対面の時と違うカフェ。

先に着いていたらしい蓮が、

「こっちこっち!孝介」

と明るく手を振っていた。

俺があげた、ブルーに一部、白が入ったTシャツと淡いブルーのデニム。

「似合ってるじゃん」

向かいに座りながら声を掛けると、エヘ、と人差し指で頭をかき、照れ笑い。

ふと、テーブルを見ると水しかない。

「なんも頼んでないの?待ってるとこか?」

「あー、違う。孝介が来てから頼もうと思って」

にこ、と笑い掛けてくる。

....なんだろうな。ゲイでもないのに、蓮が愛おしいと思う俺がいる。

「すみませーん!」

変わらず、でっかい声出し、手を挙げ、ウェイトレスを呼ぶ様に笑いそうになる。

子供みたいだなあ。

「孝介、なんにする?」

自分より先に俺か。

「アイスコーヒー。お前は?」

「僕はレモンティー」

「アイスコーヒーとレモンティー、ですね。少々、お待ちくださいませ」

ウェイトレスが会釈し、去っていく姿を見つめる。

「こないだ、美味しかったねー!焼肉!」

「だな。今日も行く?」

向かいの蓮が目を丸くした。

「え、なんで?」

「や、美味しかっただろ?」

「美味しかったけど...もう、券ないよ?」

「別に俺が出すし」

「わ、悪いし!て、バイトしてないのに...実家、お金持ち?」

運ばれてきたアイスコーヒーを啜る。

「普通だよ」

「うっそだー。部屋も広くて綺麗だったし、やっぱりお金持ちなんだー」

レモンティーにガムシロを落とし、くるくるとストローで掻き回しながら感嘆な声。

「でも、今日はいいかな。たまに食べるから美味しいんであってー」

そして、ストローでレモンティーを啜ってる。

「だったらどうする?カラオケ?」

蓮が動きを止め、ストローを咥えたままなんで、上目遣いで俺を見る。

「...カラオケ、嫌いなんじゃないっけ?」

「お前は好きなんだろ?」

「そう、だけど...」

困惑しているのか、ストローでレモンティー、掻き回し、カラカラと氷が音を立てた。
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