33 / 33
33
しおりを挟む「で?どっちが加藤くんで、どっちが鈴木くん?」
「こっちが加藤くん。こっちが鈴木くん」
茶トラの加藤くんと、キジ猫の鈴木くんを惇生が紹介した。
「ふわふわ...」
二匹とも大悟におとなしく撫でられた。
「猫、触んの初めて?」
「初めて」
食堂の二階。ギシギシ、木造の階段を上がると二匹が待ち構えるように座っていた。
「餌は?」
「いつも下で母さんか父さんがあげてるから、唐揚げ」
「唐揚げ?」
「嘘。鰹節だったり、チクワだったり」
「へえ...」
そうして、惇生の実家の部屋に入った。
学習机が目に飛び込む、物が多い、手狭な一室に大悟が立ち尽くす。
「...狭いな。そして古い」
「うるせー」
大悟の腕を掴み、ベッドの端に座る。
「やらせて」
「は?下にお前の両親いるだろ」
「大丈夫。客が多いし。それにうち、放任だから、わざわざ部屋上がっては来ない」
そのまま、押し倒され、抗った。
「ま、待て」
「なに?」
「また俺がウケ?」
「仕方ないじゃん。気持ちいいって知っちゃった。それに、俺、痛いの嫌い」
「そりゃ、俺だって....ッ」
唇を塞がれる。下手くそで傍若無人なキス。
シャツの裾から素肌が撫でられ、ゾワッとした。
「せ、せめて、掛け布団」
「了解」
掛け布団を被り、惇生に翻弄される。
声を出さないよう、はっはっ、と荒い息遣い。
掛け布団が動き、中では腰を打ち付けられながら、何度もキスをした。
終わると、
「もう1回しよっ」
屈託のない、真っ直ぐな瞳の惇生に唆される。
そして、互いに2回放出すると、確かめ合うように、キスを交わす。
「あー、喉乾いたし、腹減った」
「下行こっ」
「お前んちの唐揚げ知ったせいで、学食の唐揚げのランクが落ちた」
「食べたくなったらいつでもおいでよ」
「お前は作れないの?」
「親父の跡、継ぐには早い、てレシピ教えてくんないもん。はい」
惇生が差し出した手に大悟は手を重ねた。
一階の食堂に向かうまで、手を繋いだ。
大悟も惇生も、まるで、その暖かい手のひらが知っていた手のひらかのように感じた。
0
お気に入りに追加
26
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。

寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
こちらこそ、読んでいただき、感想まで...ありがとうございます、本当に嬉しいです😊
良い1日をお過ごしくださいね。
🍀✨🌷🌸🌺🌻
誤字だったみたいです、ありがとうございます🙇♀️