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しおりを挟むケープを被せられ、鏡越しに美容院を見る。
「スタイリストの中野純平。よろしくね」
「よ、よろしくお願いします」
鏡越しの満面な純平の笑顔に緊張が走る。
イケメンだな、と思う。美容師、て、どうしてこうもイケメンが多いんだろう、とも。
「大悟はストレートがいい、て、言ってたけど、緩いパーマ当てても似合うかもね。時間が掛かるから、大悟を怒らせそうだけど」
「は、はあ」
素っ頓狂な返事がついて出る。
「結構、伸びた感じ?どの位の頻度で美容師行くの?」
「き、気が向いた時、というか...美容院ではなく、床屋に行きます...」
「床屋?」
かあっ、と羞恥で顔が熱くなり、思わず顔を伏せた。
「まあ、いいけど、大悟が知ったら怒りそうだね。大丈夫だよ、内緒にしておくし。じゃ、お任せでいいかな?」
「は、はい、お願いします」
結果、トリートメントまでされ、鏡に映る自分に暫し見蕩れた。
大悟はお代を払っただけでなく、美容院のシャンプー、コンディショナー、トリートメントも買い、惇生に渡した。
「う、受け取れないよ」
「だったら捨てろ。俺は自宅にあるから必要ないし」
捨てろ、と言われてしまうと受け取る他ない...。
そうだ、と惇生は閃いた。
「お礼にいいところ、連れて行ってあげる」
嬉々とした惇生とは打って代わり、大悟は怪訝に顔を歪めた。
「...また、お前の運転じゃないだろうな」
「さすがにもうやめとく。大悟も多分、気に入るよ」
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