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しおりを挟む大悟のBMWを運転したいと意気込む惇生にキーを渡した。
「運転できんの?お前」
「バカにすんなよな。運転免許だってあるし、実家の親父の車だって運転した事くらいあるわ」
そうして、意気揚々と運転席に乗り込んだ。
「...早く出発しねーの?」
さっきまでの活気は何処へやら、ハンドルを握り締め、堅い表情のまま、微動だにしない惇生がいる。
「は、ハンドルのエンブレムが悪いんだ!ぷ、プレッシャーになる」
「...ガムテープでも貼って隠すか?多少、傷付けてもいいけど、心中は勘弁してくれよ」
ため息混じりの乾いた大悟の声。
「ば、バカにすんなって!お、俺だって!」
ようやく、エンジンを掛けると、のろのろと車が動き出し、思わず、大悟は額を抑えた。
徐行運転のようなスピードの為に、後部の車から次々とクラクションを鳴らされ、追い越しざまに怒鳴りつけられる。
BMWだけに尚更だ。
「...もうすぐ、コンビニがあるから、そこで止まって。運転、代わる。お前に任せてたら、切符切られかねないわ」
追い越しざまの運転手たちに散々、怒鳴りつけられ、既に惇生はしゅんとなっている。
大悟に言われた通り、近くのコンビニで停車した。
「BMWのプレッシャーってなんだよ」
大悟が笑うと、気抜けした惇生もようやく笑った。
「コーヒーでいいか?」
「うん」
助手席を降りると、大悟はコーヒーを買いに行き、惇生も車を降り、伸びをした。
「お待たせ」
「サンキュ」
コーヒーカップを手渡され、並んで飲んだ。
「で、大悟が行きたいところって?」
「着いてきたらわかる」
ふうん?と惇生は隣の大悟を見つめた。
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