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しおりを挟む鼻歌を歌いながら、惇生が大学に着くや否や。
校門前で腕を組む、派手な男に目が止まった。
ほぼ金髪の髪は丁寧にセットされ、色白な小さな顔は不機嫌そのもので、腕どころか脚まで組んで立っている。
聖だった。
「...暇人なこった。オネエに来られたら、目立って困るんだけど?」
「言われなくても、使い分けくらいできる。ちょっと時間ある?」
「ある訳ないだろ、今、大学着いたってのに」
「大悟の話しで重要な話しがある」
暫し、2人は睨み合ったが、惇生は深いため息をついた。
「俺の話しって?」
聖も惇生も目を見開いた。
噂の人物が2人の間に現れ、聖は狼狽えた。
どんな汚い言葉を使ってでも、嘘偽りを吐いても、惇生に大悟を好きにさせないよう、聖は惇生の元を訪れたのだ。
「...なんでもないよ。ああ、そうだ、この惇生って子、服のセンス、てんでないみたいだから、今度うちの店に連れてきなよ。コーディネートしてやるよ」
途端、惇生はカチン、とし、聖を睨みつけた。
「ああ、そうだな。お前のオネエ言葉より、今みたいな普通な口調のがいいけどな」
「...努力する」
「話しはそれだけか?」
「...後で電話する」
そうして、聖は停めていた車に乗り、去っていった。
運転席で聖は忌々しい顔で親指の爪を噛んだ。
「...なんなんだろ、あの人。いちいち、癪に障る」
「気にすんな。...でも確かに」
少し惇生の肩を押し、大悟は惇生の全身を舐めるように見た。
「...大学終わったら、時間、あるか?」
ぼんやり惇生は大悟を見つめた。
「...だったら、1つ、お願いがある」
にこっと惇生は微笑んだ。
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