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しおりを挟む「なにって飯食いに決まってんだろ。なんだよ、ファミレスデート?」
「まあな。てか凄い量だな、どっちかの誕生日か?」
「あ、ああ。まあな」
そうして、大悟と惇生、悠介と美香が並び、1つのテーブルに座り直した。
一緒に食おう、と悠介が言い出したからだった。
「こんだけあるなら頼むもんはないな、て言いたいとこだけど。美香、なんにする?」
悠介は美香にメニューを手渡した。
と、同時に惇生を心配し、大悟は惇生の横顔を見つめた。
「鍋フェア、始まったばかりだよ」
意外にも陽気な惇生がいた。
「鍋フェアかあ....美味しそう、ね、悠ちゃん」
「だな」
2人で1つのメニューを覗く仲睦まじさに大悟の心配がピークに達した。
「本当に大丈夫か?」
思わず、惇生の耳元で囁いたが、惇生の返事は、
「なにが?」
と、素っ頓狂なもので、大悟は小首を傾げた。
「大悟は?もういいの?」
「いや、さすがにもう」
「唐揚げは?単品も出来るし。デザートは?」
にこやかな惇生に問われ、
「...じゃ、唐揚げ、単品で。デザートか...」
以前、食べた記憶を巡らせた。
「迷うし、唐揚げ、食べてからでいいや」
「了解」
悠介はチゲ鍋定食、美香はチーズハンバーグ定食、そして、フライドポテト大盛り、惇生は大悟の為に唐揚げ単品を注文した。
「上手くいってるみたいだな」
「まあ、そこそこな」
悠介がそう言い、美香を見ると目が合い、2人は微笑んだ。
不意に、美香の視線が大悟に向けられた。
「友達に拗ねられちゃうなあ」
美香の一言に、惇生と悠介の視線も大悟に注がれる。
「九条くんのファン、友達にも多いんですよ。一緒に食事したなんて話したら殺されちゃう」
肩を竦め美香が笑った。
「九条...?人間違えじゃないか?美香。こいつ、九条じゃない、西山だよ」
「え?九条くんだよね?九条大悟。あっ、それとも、雑誌と名前、使い分けてるの?」
「雑誌...?」
惇生と悠介の丸い目とセリフが重なった。
「うん。九条くん、ファッション雑誌の読モなの。一時期、モデルになるんじゃないか、とか芸能人になるんじゃ、て騒がれたんだけど」
「ならないよ」
思いもよらない噂に思わず、大悟は吹き出しそうになった。
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