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しおりを挟む「あいつとはどうなんだ?」
「あいつ?」
「悠介。好きなんだろ?」
ああ、と惇生は笑った。
「彼女、出来たんだってさ」
途端、大悟の表情が険しくなった。
「....彼女....?」
「ああ」
「....平気なのか?」
「んー、まあ...あ、お前、これから用あるか?」
「これから?講義ならあるけど?」
「それは俺も一緒。サボろうぜ」
「サボる?なんで」
「お前のファミレスでの食いっぷり思い出したら俺も食いたくなってきた」
大悟は惇生のいたずらっ子のような眼差しに面食らった。まるで別人のように明るい惇生。
校門前になり、
「ちょっと待ってて、惇生」
大悟は惇生を待たせ、その場を去った。
何事かと思っていたら惇生の目の前にBMWが止まり、ウィンドウが開くと、運転席にいるのは大悟で、惇生は鳩が豆鉄砲を食らった気分だった。
「乗れよ」
おずおずと初めての外車の助手席でシートベルトを嵌めた。
「親の車?」
「いや、俺の車。実家に置きっ放しだったからさ。ファミレスでいいの?」
「う、うん」
ハンドルを握る大悟は様になり、釘付けになった。運転も軽やかで恐怖もなく身を預ける事が出来た。
「いらっしゃ...!なんだ、惇生かよ」
「飯食いに来た」
「珍しいな」
バイトのスタッフと談笑する惇生を見つめた。
「好きな席にいいぜ」
意気揚々な惇生の後を追い、1つのBOX席に向かい合い座る。
「何にする?大悟」
思わず、大悟はメニューから目を上げ、惇生を見つめ、止まった。
「新メニューも出てるよ。チゲ鍋とかすき焼きとか。大悟の事だから全部食いてーとか抜かすんだろ?...どした?」
「....初めて、お前が俺の名前、呼んだ」
「そっか?」
当の本人は覚えはなく、大悟にメニューを急かし、あっという間にテーブルは料理で埋め尽くされ、惇生も大悟も同時に笑った。
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