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しおりを挟む図らずも惇生は以前の大悟のようだ。
大悟の姿を探し、大悟の後ろで講義を受ける大悟を見守った。
今更ながら、大悟の放つ、気品に気づかされる。仕草の1つ1つ。全てが洗練されていて、上流階級で育ち、躾られた事を痛感させた。
大悟のときと違うのは大悟は気づいているのかいないのか、惇生を見ない。
大悟の後を追い、食堂に入る。
偶然を装い、惇生は大悟の正面に座ったが、一瞬、顔を上げただけだ。
「また唐揚げなんだな」
ついて出た言葉。
「お前もまたうどんなんだな」
唐揚げに箸を突き刺そうとした惇生と片手で味噌汁を持ち上げていた大悟、2人は同時に硬直した。
「...記憶がないんじゃなかったっけ?」
唐揚げを齧り、大悟を見る。大悟は視線を伏せ、黙々と食事をするのみだ。
「....シカトかよ」
「昔のお前の真似」
視線が合うと同時に口角を上げた。
「唐揚げ、もう1つくれよ」
「横着になったな、お前」
「誰かさんのファミレスでの食いっぷりには負けるよ」
ふっと鼻で笑う大悟を見つめた。惇生の瞳はいつも以上の優しい眼差しだった。
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