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しおりを挟む「惇生、お前、また、うどんかよ」
俺の隣に惇生の幼馴染みらしい爽やかイケメンが笑顔でやってきた。
そいつは生姜焼き定食だ。
「いいだろ、別に」
「ほら。うどんだけじゃ、せいがつかないだろ」
惇生のきつねうどんの乗ったトレイの隅に奴はおにぎりが2つ乗った皿を置いた。
「え、サンキュ、悠介」
惇生が財布を取ろうとデニムの尻ポケットを漁った。
「いい、いい。その変わり、次の講義、寝てたらノート貸して」
悠介の要望を聞くなり、惇生が子供のように笑った。
「ま、いいけど」
大悟には1度も見せたことのない、屈託のない笑顔。2人の会話をただただ箸を止めて見つめた。
不意に悠介、とやらが大悟の視線に気がついた。
「惇生の友達?珍しいな」
「知らねーやつ」
惇生はすぐさま、先程のぶっきらぼうな態度に戻り箸で掴んだ油揚げにかぶりついた。
「知らねーやつってなんだよ、ちゃんと自己紹介したじゃねーか」
「知らね。聞いてないし、頼んでない」
すました顔で惇生は悠介の持ってきたおにぎりを箸で摘んだ。
その間、悠介は笑ってた。
「名前は?俺は悠介。こいつは惇生。互いに法学部の4年。お前は?」
大悟は一瞬、言葉を失った。
2人とも大悟より1つ上だったからだ。
相変わらず、無愛想な顔で上目遣いながら睨みあげてくる惇生がいる。
まさか、今更、1つ下、と言ってしまったら馬鹿にされかねない。
が、既に遅し。大悟はとっくに惇生に自己紹介してしまっていた。
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