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調子が狂う
しおりを挟む俺のマンションに2人でタクシーで移動する前に、慶太くんのマンションに寄り簡単な荷物を取りに行き、途中はスーパーに寄った。
「優輝さん、体キツいでしょ?僕が行ってくるから車内で待ってて?」
慶太くんの笑顔にきゅん。
「お客さん、体調悪いの?大丈夫?」
運転手のおじさんにそう心配されたけど、初めてケツ掘られて...なんて言える訳もなく。
「え、あ、まあ、筋肉痛的な」
「ああ、筋トレ流行ってるもんねえ、おっちゃんも昔、よくやってたなあ」
ガハハ、と豪快に運転手さんが笑い、俺は苦笑しながら若干、肩を竦めた。
「お邪魔しまーす」
2DKの我が家。
こんな俺好みのかわい子ちゃんが来訪なんて...!
タチだけど。
「食材、冷蔵庫に入れるねー」
「うん」
「あっ、お腹は?空いてない?」
時刻を見ると22時を少し過ぎた辺り。
「確かに夕飯は食べてないしな...減ってなくはないけど」
「じゃ、簡単になにか作ろっか?」
「え、いいの?」
「うん、いいよー。大した物は作れないけど。ほら、優輝さんはゆっくりしてて。まだお尻痛む?」
お尻、のフレーズに、う、となる。
だよな、やったんだよな、この可愛い子と...。
「鎮痛剤は?ある?」
「え?うん、ある」
「食事、パスタでいい?食べたら飲みなよ、鎮痛剤。空きっ腹は良くないし」
キッチンに向かいながら優しくそう話しかけてくれる。
...見た目の可愛らしさと打って変わった、この男前っぷり。
惚れそ、なんてな。
「ホント、簡単なものでごめんだけど」
キッチンと連なったリビングのソファに座り、料理する慶太くんの後ろ姿を眺めてた。
彼がウケならホント、堪んないな。
めちゃくちゃタイプ。痒いところまで手が届く、なにより気遣いができて優しくて...。
テーブルに並んだのは茄子とアスパラとベーコンが入ったトマト系のパスタだった。
「うわ、普通に美味そう」
「ホント?良かったー」
互いに手を合わせ、いただきます、の後、フォークに巻き付けてパクり。
「....ん!うま」
「うん、なかなか良くできた感じ。良かったー」
口元を抑えながら絶賛。
そうして、食後は慶太くんに促され鎮痛剤を飲んだ。
風呂上がり、ソファに並び、互いにお酒を嗜みながらのTV見てまったりタイム。
「...したいなぁ」
ポツリ、隣から呟きが聞こえた。
「...なんて、看病なんだし我慢我慢」
また慶太くんはポツポツ話すと缶ビールを片手に俺の肩に頭を乗っけてきた。
互いの視線は正面のTV。
慶太くんも口元に缶ビールを寄せ、俺もビールを一口飲んだ。
遠回しにせがまれてる気がする...。
はあ、と小さく慶太くんがため息をついた。
「やっぱりしたいなぁ、困ったなぁ...」
軽く酔ってるとはいえ、なんでだろう、嫌な気分じゃない。
それでなくてもアイドル顔負けの可愛さなのに、俺の肩にぴったりくっつき、口を尖らせる慶太くんが可愛すぎるせいだ...!
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