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大切な君にガーベラを
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次の日。
慶太を連れて、慶太の実家に来た。
慶太も久しぶりの我が家だ。
チャイムを鳴らすと、お母さんがいらっしゃい、と笑顔で出迎えてくれた。
あらかじめ、詳しくは話さなかったけども、慶太は無事見つかったことと、
明日、2人で行きます、と電話を入れていた。
「とりあえず、2人とも座って頂戴」
広いダイニングテーブルに招かれた。
家政婦さんではなく、珍しくお母さんがお茶をいれてくれた。
「そうそう、頂き物のマドレーヌあるけど食べる?お紅茶にきっと合うわ」
すぐに慶太は
「要らない」
と返事した。
お母さんはしんみりとした表情で、紅茶に手は付けず、
「あなたは私を恨んでるでしょうね」
慶太に言ったんだと思う。
「そりゃそうよね...明奈が生まれても亡くなっても母親らしいこと、なに1つしてあげれなかったんだもの...」
「わかってんじゃん」
「慶太」
涼しい顔でティーカップに口をつける慶太を制した。
「お母さんもずっと悩んでいたわ。あの人...お父さんの言いなりになっている自分が嫌でたまらなかった。慶太。慶太と同じようにお母さんは今でも明奈のことを愛しているわ」
「嘘だ!」
「嘘だと思うならそれでいいの。せめて、あなたはあなただけは幸せになって欲しい。あなた達を反対するつもりはお母さんは無いわ」
車の中で外を見る慶太はいつにも増して、真剣な眼差しだ。
途中で俺は花屋に寄った。
ピンク色のガーベラを1本選び、ラッピングしてもらった。
着いた先は慶太の妹、明奈ちゃんの墓だ。
着くと真新しい花束が活けてあった。
「もしかしたら、お母さんかもしれないね」
ガーベラを供えると、慶太はなにも言わず、以前、遊園地で購入した明奈ちゃんへのプレゼント。
うさぎのぬいぐるみの付いたキーホルダーを可愛い包みのまま、そっと墓石に置き、手を合わせ、目を瞑った。
慶太と出逢わせてくれた感謝とこれからも慶太を見守って欲しい、と俺も手を合わせ、瞼を閉じ、祈りを込めた。
目を開けると、慶太はまだ明奈ちゃんに心の声を届けていて、優しく見守った。
慶太は目を開けると笑みを浮かべる。
「手、出して」
右手を差し出すと、違う、左、と言われ、左手を差し出す。
なんだろうと思っていると、薬指にシンプルな指輪を嵌められた。
慶太は自分の左手の甲を見せて微笑む。
ペアリングだった。
「明奈の前でこうしたかったんだ。明奈の分、て変だけど、2人分、幸せになってもいいのかな、て」
高級そうなキラキラした指輪に目を奪われた。
「まさか、この為にバイトしてた...?」
「それもある。親父の金で買いたくは無かったから」
「...なにか食べてく?」
「そうだなあ...オムライス食べたいかも」
「オムライスか、いいね。美味い店、知ってるよ」
「ほんと!?行ってみたい」
まだまだ発展途上な俺たちは少しだけ一歩、前進できたように感じる。
慶太を連れて、慶太の実家に来た。
慶太も久しぶりの我が家だ。
チャイムを鳴らすと、お母さんがいらっしゃい、と笑顔で出迎えてくれた。
あらかじめ、詳しくは話さなかったけども、慶太は無事見つかったことと、
明日、2人で行きます、と電話を入れていた。
「とりあえず、2人とも座って頂戴」
広いダイニングテーブルに招かれた。
家政婦さんではなく、珍しくお母さんがお茶をいれてくれた。
「そうそう、頂き物のマドレーヌあるけど食べる?お紅茶にきっと合うわ」
すぐに慶太は
「要らない」
と返事した。
お母さんはしんみりとした表情で、紅茶に手は付けず、
「あなたは私を恨んでるでしょうね」
慶太に言ったんだと思う。
「そりゃそうよね...明奈が生まれても亡くなっても母親らしいこと、なに1つしてあげれなかったんだもの...」
「わかってんじゃん」
「慶太」
涼しい顔でティーカップに口をつける慶太を制した。
「お母さんもずっと悩んでいたわ。あの人...お父さんの言いなりになっている自分が嫌でたまらなかった。慶太。慶太と同じようにお母さんは今でも明奈のことを愛しているわ」
「嘘だ!」
「嘘だと思うならそれでいいの。せめて、あなたはあなただけは幸せになって欲しい。あなた達を反対するつもりはお母さんは無いわ」
車の中で外を見る慶太はいつにも増して、真剣な眼差しだ。
途中で俺は花屋に寄った。
ピンク色のガーベラを1本選び、ラッピングしてもらった。
着いた先は慶太の妹、明奈ちゃんの墓だ。
着くと真新しい花束が活けてあった。
「もしかしたら、お母さんかもしれないね」
ガーベラを供えると、慶太はなにも言わず、以前、遊園地で購入した明奈ちゃんへのプレゼント。
うさぎのぬいぐるみの付いたキーホルダーを可愛い包みのまま、そっと墓石に置き、手を合わせ、目を瞑った。
慶太と出逢わせてくれた感謝とこれからも慶太を見守って欲しい、と俺も手を合わせ、瞼を閉じ、祈りを込めた。
目を開けると、慶太はまだ明奈ちゃんに心の声を届けていて、優しく見守った。
慶太は目を開けると笑みを浮かべる。
「手、出して」
右手を差し出すと、違う、左、と言われ、左手を差し出す。
なんだろうと思っていると、薬指にシンプルな指輪を嵌められた。
慶太は自分の左手の甲を見せて微笑む。
ペアリングだった。
「明奈の前でこうしたかったんだ。明奈の分、て変だけど、2人分、幸せになってもいいのかな、て」
高級そうなキラキラした指輪に目を奪われた。
「まさか、この為にバイトしてた...?」
「それもある。親父の金で買いたくは無かったから」
「...なにか食べてく?」
「そうだなあ...オムライス食べたいかも」
「オムライスか、いいね。美味い店、知ってるよ」
「ほんと!?行ってみたい」
まだまだ発展途上な俺たちは少しだけ一歩、前進できたように感じる。
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