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慶太は車の中でひたすら無言だった。
帰宅すると、湯船にお湯を張った。
「慶太、ごめん」
俺は慶太を力いっぱい抱き締めた。
「どうして、広斗が謝るのさ...」
「お前を探し出せなかったこと、俺のせいで...辛い思いをさせたこと」
泣きたいのは慶太の筈なのに涙が溢れた。
「本当にごめん」
「謝るのは俺の方だよ」
慶太の話しによれば、バイトから帰宅中、喧嘩中だった為に帰宅の足を止め、公園で道草していたところを裕司に声を掛けられたらしい。
元気のない慶太に、ストレス解消に飲みでも行くか、と誘われたが飲みに行くでもなく慶太は拉致された。
気がついたら裸で横たわり、裕司に犯された後だった。
それから1週間、裕司を含め、裕司の友人2人もたまに含め、犯されていたとのことだった。
「軽々しく誘いに乗ってごめん、広斗」
「一生のトラウマになるな...」
俺は大人気なく、涙で鼻を啜る。
「大丈夫だよ、あんなの。事故としか思ってない。ただ、広斗を心配させて、傷つけたこと、凄く反省してる。ごめんなさい」
慶太にギュッと抱きすくめられた。
気がつけば、身長は俺より上回ってる。
少しずつ、慶太が大人になっているのがわかる。
「子供と大人の境界線、てなんだろうな」
「なに?」
「ううん、独り言」
訝しげな慶太の眼差しはまだ少し子供らしさと、少しの大人っぽさで、無限の可能性を秘めている。
「お前の母さんも心配してたよ」
「母さんが?」
「うん」
「行ったの?家」
「ああ。お前のことも明奈ちゃんのことも、お母さんは愛しているよ」
慶太がほんとに?という顔をした。
「近々、2人で会いに行こう?」
「うん...」
明日でいい、と言うのに、慶太はバイト先に辞める旨を報告していた。
電話越しに、そうなの?君はムードメーカーだったし、残念だね、という店長さんの優しく思いやりに満ちた声が聞こえる。
久しぶりに慶太とショッピングに出かけた。
なにやら買いたいものがあるらしい。
帰宅したら夕飯の支度。
チキンのガーリックソテー、カプレーゼ、コーンスープにライス。
これまた久しぶりに2人で食事、嬉しかった。
「やっぱり美味しい」
「たくさん作ったからお代わりしていいからな」
「また2人で色んなとこ行きたいよ」
「俺もそう思う」
テーブルを挟んで向かい合って座り、一緒に微笑んだ。
帰宅すると、湯船にお湯を張った。
「慶太、ごめん」
俺は慶太を力いっぱい抱き締めた。
「どうして、広斗が謝るのさ...」
「お前を探し出せなかったこと、俺のせいで...辛い思いをさせたこと」
泣きたいのは慶太の筈なのに涙が溢れた。
「本当にごめん」
「謝るのは俺の方だよ」
慶太の話しによれば、バイトから帰宅中、喧嘩中だった為に帰宅の足を止め、公園で道草していたところを裕司に声を掛けられたらしい。
元気のない慶太に、ストレス解消に飲みでも行くか、と誘われたが飲みに行くでもなく慶太は拉致された。
気がついたら裸で横たわり、裕司に犯された後だった。
それから1週間、裕司を含め、裕司の友人2人もたまに含め、犯されていたとのことだった。
「軽々しく誘いに乗ってごめん、広斗」
「一生のトラウマになるな...」
俺は大人気なく、涙で鼻を啜る。
「大丈夫だよ、あんなの。事故としか思ってない。ただ、広斗を心配させて、傷つけたこと、凄く反省してる。ごめんなさい」
慶太にギュッと抱きすくめられた。
気がつけば、身長は俺より上回ってる。
少しずつ、慶太が大人になっているのがわかる。
「子供と大人の境界線、てなんだろうな」
「なに?」
「ううん、独り言」
訝しげな慶太の眼差しはまだ少し子供らしさと、少しの大人っぽさで、無限の可能性を秘めている。
「お前の母さんも心配してたよ」
「母さんが?」
「うん」
「行ったの?家」
「ああ。お前のことも明奈ちゃんのことも、お母さんは愛しているよ」
慶太がほんとに?という顔をした。
「近々、2人で会いに行こう?」
「うん...」
明日でいい、と言うのに、慶太はバイト先に辞める旨を報告していた。
電話越しに、そうなの?君はムードメーカーだったし、残念だね、という店長さんの優しく思いやりに満ちた声が聞こえる。
久しぶりに慶太とショッピングに出かけた。
なにやら買いたいものがあるらしい。
帰宅したら夕飯の支度。
チキンのガーリックソテー、カプレーゼ、コーンスープにライス。
これまた久しぶりに2人で食事、嬉しかった。
「やっぱり美味しい」
「たくさん作ったからお代わりしていいからな」
「また2人で色んなとこ行きたいよ」
「俺もそう思う」
テーブルを挟んで向かい合って座り、一緒に微笑んだ。
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