君だけのナイト☆

ミヒロ

文字の大きさ
上 下
9 / 21

9

しおりを挟む

二日後。

俺の足は再び、ハルのクラス、2-Bに向かっていた。

ハルから事情を聞き出したいのと、させ子を辞めて欲しい旨を伝える為だった。

クラスに着き、教室内を見渡し、ハルを探した。

「ハルなら居ませんよ」

先日、ハルに声を掛けていたハルのクラスメイトが俺を見上げて言った。

俺のタッパや正直、どちらかというと強面に思われがちな俺の真顔に緊張しているようだが、強い眼差しだ。

「佐伯....先輩ですよね....?」

「そうだけど」

なんで俺を知ってるんだ?と考えている間に、

「ハルを助けてあげてください!」

「助ける....?」

「ハルなら風邪で休んでます」

ああ、そういうことか、と俺は納得した。

「あ、あと、ハルの寮の部屋、15号室です。よろしくお願いします」

「わかった」

俺は学校を早退し、購買部で一通り、風邪に良さそうなものを買い漁り、寮へと向かった。

「....ここがハルの部屋か」

自分の部屋とは何ら変わりはしない扉に違いないのに、その先に胸が高鳴った。

軽くドアをノックした。

何回かそうしてノックしたが、出てくる様子はない。

どうしたものか、と俺は腕を組み、頭を捻った。

しばらく、そうして、突っ立っていると校舎側から一人の生徒が廊下を走ってきた。

「...ハルに用事ですか?風邪で寝込んでます」

「クラスメイト?」

「いえ、1年のときに」

「看病に来たんだけど、ノックしても出ないんだ。倒れてやしないか、て」

ハルが1年の頃のクラスメイトの表情が変わった。

俺の持っている、ポカリやプリン等の入っているビニールを確認するかのように見つめた。

「ハルはノックじゃ、絶対に出てきませんよ。番号、教えるんで、LINE追加してください」

そうして、忘れ物を取りに来たという彼のお陰でハルの連絡先を入手した。

早速、LINEで、部屋の前に来ていること、看病しに来たことを伝えた。

(...だけど、ノックじゃ開けない、てどうしてだ?)

ゆっくり、ドアが開き、ハルが顔を覗かせた。

ケホケホ、と咳をしながら、

「先輩、どうしてここを、それに僕が風邪、てなんで....」

「いいから。一人で風邪だとか難儀だろう、看病してやるから」

ドアが開かれ、ハルに招き入れられた。

予想していた几帳面な性格通り、きちんと整頓された清潔感のあるシンプルな部屋だった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

蜂蜜とストーカー~本の虫である僕の結婚相手は元迷惑ファンだった~

清田いい鳥
BL
読書大好きユハニくん。魔術学園に入り、気の置けない友達ができ、ここまではとても順調だった。 しかし魔獣騎乗の授業で、まさかの高所恐怖症が発覚。歩くどころか乗るのも無理。何もかも無理。危うく落馬しかけたところをカーティス先輩に助けられたものの、このオレンジ頭がなんかしつこい。手紙はもう引き出しに入らない。花でお部屋が花畑に。けど、触れられても嫌じゃないのはなぜだろう。 プレゼント攻撃のことはさておき、先輩的には普通にアプローチしてたつもりが、なんか思ってたんと違う感じになって着地するまでのお話です。 『体育会系の魔法使い』のおまけ小説。付録です。サイドストーリーです。クリック者全員大サービスで(充分伝わっとるわ)。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

【完結】催眠なんてかかるはずないと思っていた時が俺にもありました!

隅枝 輝羽
BL
大学の同期生が催眠音声とやらを作っているのを知った。なにそれって思うじゃん。でも、試し聞きしてもこんなもんかーって感じ。催眠なんてそう簡単にかかるわけないよな。って、なんだよこれー!! ムーンさんでも投稿してます。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

酔った俺は、美味しく頂かれてました

雪紫
BL
片思いの相手に、酔ったフリして色々聞き出す筈が、何故かキスされて……? 両片思い(?)の男子大学生達の夜。 2話完結の短編です。 長いので2話にわけました。 他サイトにも掲載しています。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

処理中です...