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しおりを挟む結局、二回、お世話になった。
「....じゃあ、僕、シャワーお借りしますね」
行為を終えたハルが立ち上がったその瞬間。
ぐ~きゅるるる....
ハルのお腹が鳴った。
タオルで前を隠していたハルは立ち止まり、分かりやすく顔を真っ赤に染め、俺は吹き出した。
「そんなに急いで帰らなくてもいいだろう?簡単になにか作るから。俺も腹減ったし。シャワー浴びてる間に作っておくから」
ハルに声を掛けると、
「い、いいんですか...?」
「一人で食べるより二人で食べた方が上手いから。ほら、早くシャワー浴びてこいよ」
しばらく間を置いて俺を眺めていたが、はいっ、と勢い良い返事をしてタオルで前を隠したまま浴室へ走っていった。
ハルの後ろ姿を見送り、さて、と冷蔵庫を確認。
寮には食堂も購買部もあるが、自炊用の小さいながらキッチンもある。
ご飯や野菜の残りもあるし、冷凍の餃子もある。
炒飯と餃子、サラダとスープでも作るかな、と俺はキッチンに立った。
しばらくするとシャワーを終えたハルが来た時と同じ、白と水色のトップスにデニム姿で、
「シャワーお借りしました」
これまた丁寧にお辞儀した。
「すぐできるから、ゆっくりしてて」
「はい...」
料理しながら、ふとハルの気配にふりかえるとベッドの布団をメイキングしていたり、ティッシュを纏めたり、ローションを直したり、忙しなく動いている様が可愛かった。
「ゆっくりしてて、て言ったろ?」
「で、でも...もう終わります」
そう言うとハルはベッドの掛け布団の皺を伸ばしている。
「出来たぞ」
炒飯の器を2枚、餃子は一皿に10個。
ハルは慌てて駆け寄ってきて、皿を受け取り、真ん中のテーブルに並べた。
サラダとスープの計4皿もテーブルに並び。
「なんか、すみません」
「いいよ、てか、腹減った、食べよう」
「はい、頂きます」
「頂きます」
きちんと手を合わせるハルに、普段はしないが釣られて、俺も手を合わせた。
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