素直になれない僕ですが

ミヒロ

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え、待って、....。

俺....?

えっと、遠藤さん、はつまり、俺、な訳だが....。

「....遠藤さん?」

暫し考えていたら無言になっていた。

が、理解し終えた俺は誤って抑えていた口元から、ぷ、と笑いが吹き出してしまい、やばい、と思った、が既に遅し。

凍てつく空気を感じた。

「....今、笑いました?遠藤さん」

「い、いや、笑ってなんか!あー、最近、喉の調子がどうも」

ケホケホと咳をし、誤魔化そうと必死な俺。

電話の向こうのイキリうさぎこと、聖也が納得していない気配。

「....笑いました。笑いましたよね?笑われても仕方がないんです!友達にも言われました!」

いきなり聖也の至らん癖、自己否定が開始しようとしている。最後は雄叫びに近い。

「笑われた?どう、お友達に笑われたんです?」

慌てて、どうにか流れを変えよえと必死に冷静に尋ねた。

「笑われてはないです!見たことも会ったこともないのに、好きになるのはどうか、てことです!もし遠藤さんが既婚者だったり、僕、遠藤さんを良く知りもしないのに!て!遠藤さんがもしハゲたおっさんだったらどうする、て友達にも言われました!」

息継ぎ、どうやってんの?てくらいに一気に思いを吐き出した聖也だが....。

「は、ハゲたおっさん....?」

しん、と一瞬、聖也がやばい、と感じただろう空気を感じた。

「ち、違うんです、た、例えば、て、は、話しで....」

さっきの勢いはどこへやら、唐突に狼狽え出した。

これはなかなか面白い...と俺はほくそ笑んだ。

「....ちなみにイキリうさぎさんが思い描く私のイメージはどんな感じです?」

「い、イメージ....」

「はい。怒らないので、安心して教えてください」

すう、と聖也が息を吸う音がした。

と思ったら吐いた。

....まずは深呼吸かよ。

頑張れ、聖也。
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